「第3章:主な医薬品とその作用」の10回目です!
※この記事は「平成30年3月 試験問題の作成に関する手引き」をもとに作成しています。
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Ⅶ 内服アレルギー用薬
1)アレルギーの症状、薬が症状を抑える仕組み
- アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)は人によって異なります。
- 主なものとして、小麦、卵、乳、そば、落花生、えび、かになどの食品
ハウスダスト、化学物質、金属
スギ、ヒノキ、ブタクサなど季節性によるものもあります。
アレルギーの仕組み・症状
- アレルゲンが皮膚、粘膜より体内に入る
- 免疫グロブリン(抗体)が肥満細胞を刺激
- 生理活性物質のヒスタミンやプロスタグランジンが遊離する
肥満細胞から遊離したヒスタミンは、周囲の器官や組織と反応して、血管拡張、血管透過性亢進などの作用を示します
- なお、蕁麻疹についてはアレルゲンとの接触以外に、皮膚への物理的な刺激によってヒスタミンが肥満細胞から遊離して生じるものもあります。
- 食品(特にサバなどの生魚)が傷むとヒスタミンに類似した物質が生成され、そうした食品を摂取することで生じる蕁麻疹もあります。
内服アレルギー用薬と鼻炎用内服薬
内服アレルギー用薬
蕁麻疹や湿疹、かぶれや皮膚の痒み、または鼻炎に用いられる内服薬の総称です。
ヒスタミンの働きを抑える、抗ヒスタミン成分を主体として配合されています。
鼻炎用内服薬
抗ヒスタミン成分を主成分としに、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎または副鼻腔炎による諸症状の緩和を目的として用いられる内服薬です。
抗ヒスタミン以外に、鼻粘膜の充血や腫れを和らげる成分(アドレナリン作動成分)や鼻汁分泌やくしゃみを抑える成分(抗コリン成分)などを組み合わせて配合されています。
2)代表的な配合成分等、主な副作用
抗ヒスタミン成分
肥満細胞から遊離したヒスタミンが、受容体と反応するのを妨げ、ヒスタミンの働きを抑える作用があります
抗ヒスタミンの成分名
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- カルビノキサミンマレイン酸塩
- クレマスチンフマル酸塩
- ジフェンヒドラミン塩酸塩
- ジフェニルピラリン塩酸塩
- ジフェニルピラリンテオクル酸塩
- トリプロリジン塩酸塩
- メキタジン
- アゼラスチン
- エメダスチン
- ケトチフェン
抗ヒスタミン成分の副作用
- ヒスタミンは覚醒の維持・調節を行う働きを担っている
⇒ヒスタミンが抑えられると眠気が促される
⇒乗物類の運転操作を避ける - ジフェンヒドラミンを含む成分は、一部が乳汁に移行する
⇒乳児に昏睡を生じるおそれがある
⇒授乳中の使用は避ける - 抗ヒスタミン成分は抗コリン作用も示す
⇒排尿困難や口渇、便秘などの副作用が現れる
⇒排尿困難、緑内障の場合には医師、薬剤師へ相談する。
抗炎症成分
皮膚や鼻粘膜の炎症を和らげる目的で、
- グリチルリチン酸二カリウム
- グリチルリチン酸
- グリチルリチン酸モノアンモニウム
- ブロメライン
- トラネキサム酸
が配合されている場合があります。
生薬成分として、グリチルリチン酸を含むカンゾウが用いられることがあります
アドレナリン作動成分
鼻炎用内服薬では、交感神経系を刺激して鼻粘膜の血管を収縮させることで鼻粘膜の充血や腫れを和らげます。
- プソイドエフェドリン塩酸塩
- メチルエフェドリン塩酸塩
- フェニレフリン塩酸塩
などのアドレナリン作動成分が配合されている場合があります。
メチルエフェドリン塩酸塩については、血管収縮作用により痒みを鎮める効果を期待して、アレルギー用薬でも用いられることがあります
プソイドエフェドリン塩酸塩の作用
- 中枢神経系の作用が強く、副作用として不眠や神経過敏が現れることがあります
- 心臓病、高血圧、糖尿病、甲状腺機能障害、前立腺肥大による排尿困難の症状を悪化させるおそれがあるため、使用を避ける
- パーキンソン病治療患者でモノアミン酸化酵素阻害剤が処方されている場合、プソイドエフェドリンの代謝が妨げられて、副作用が現れやすくなる
プソイドエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩は依存性があり、薬物依存になるおそれがあります
抗コリン成分
鼻腔内の副交感神経系の働きを抑え、鼻汁分泌やくしゃみを抑える目的で
- ベラドンナ総アルカロイド
- ヨウ化イソプロパミド
ベラドンナはナス科の草本で、その葉や根に、副交感神経系の働きを抑える作用を示すアルカロイドを含有します。
ビタミン成分
皮膚や粘膜の健康維持・回復に重要なビタミンを補給する目的で
- ビタミンB6
(ピリドキサールリン酸エステル)
(ピリドキシン塩酸塩) - ビタミンB2
(リボフラビンリン酸エステルナトリウム) - パンテノール
- パントテン酸カルシウム
- ビタミンC
(アスコルビン酸) - ニコチン酸アミド
などが配合されている場合があります。
生薬成分
シンイ
モクレン科のタムシバ、コブシ、ボウシュンカ、マグノリア・スプレンゲリ又はハクモクレン等の蕾を基原とする生薬
鎮静、鎮痛の作用を期待して用いられる
サイシン
ウマノスズクサ科のウスバサイシン又はケイリンサイシンの根及び根茎を基原とする生薬
鎮痛、鎮咳、利尿等の作用を有するとされ、鼻閉への効果を期待して用いられる
ケイガイ
シソ科のケイガイの花穂を基原とする生薬
発汗、解熱、鎮痛等の作用を有するとされ、鼻閉への効果を期待して用いられる
漢方処方製剤
漢方処方製剤では、使用する人の体質と症状にあわせて漢方処方が選択されることが重要です
茵蔯蒿湯いんちんこうとう
体力中等度以上
口渇があり、尿量少なく、便秘するものの
蕁麻疹、口内炎、皮膚の痒みに適す
体の虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人には不向き。
十味敗毒湯じゅうみはいどくとう
※カンゾウを含む
体力中等度
皮膚疾患で、発赤があり、ときに化膿するものの
化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、水虫に適す。
化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、急性湿疹に用いる場合は、漫然と長期の使用は避け、1週間位使用して症状の改善がしない場合、使用を中止して専門家に相談が必要。
消風散しょうふうさん
※カンゾウを含む
体力中等度以上
皮膚疾患で、痒みが強くて分泌物が多く、ときに局所の熱感があるものの湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、水虫、あせもに適す。
体の虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人には不向き。
当帰飲子とうきいんし
※カンゾウを含む
体力中等度で冷え症で、皮膚が乾燥するものの湿疹・皮膚炎(分泌物の少ないもの)、痒みに適す。
胃腸が弱く下痢しやすい人には不向き。
葛根湯加川芎辛夷かっこんとうかせんきゅうしんい
※カンゾウ・マオウを含む
比較的体力のある
鼻づまり、蓄膿症、慢性鼻炎に適す。
体の虚弱な人、胃腸が弱い人、発汗傾向の著しい人では不向き。
荊芥連翹湯けいがいれんぎょうとう
※カンゾウを含む
体力中等度以上
皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすく腹壁が緊張しているものの
蓄膿症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきびに適す
まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎が現れる
辛夷清肺湯しんいせいはいとう
体力中等度以上
濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの
鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症に適す
まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎、腸間膜静脈硬化症が現れる
3)相互作用、受診勧奨
相互作用
- 他のアレルギー用薬が併用された場合、効き目が強すぎたり、副作用が起こりやすくなる
- 一般の生活者では「鼻炎の薬」と「蕁麻疹の薬」などは影響しあわないと認識されることもあるので適宜注意を促していくことが重要です
- 内服薬と外用薬でも同じ成分が重複することもあり、併用されることのないよう注意が必要です
受診勧奨
- 蕁麻疹や鼻炎等のアレルギー症状に対する医薬品の使用は、基本的に対症療法です
- 長期の連用は避け、5~6日間使用しても症状の改善がみられない場合には、医師の診療を受けるなどの対応が必要です
- 一般用医薬品には、アトピー性皮膚炎による慢性湿疹等の治療に用いるものはありません
- 予防的にアレルギー用薬を使用することも適当ではありません
- アレルギー症状は皮膚症状が治まると喘息が現れるというように連鎖的に現れることがあり、その場合、医療機関で総合的な診療を受けた方がよいとされています
- また皮膚感染症により、湿疹やかぶれ等に似た症状が現れることがあり、その際は皮膚感染症の対処を優先する必要があります
- アレルギー症状を軽減するには、アレルゲンの除去・回避といった根源的な対応が重要です
- 医療機関においては、アレルゲンを特定した上で、アレルゲンに対して徐々に体を慣らしていく治療法(減感作療法)もあります
Ⅷ 鼻に用いる薬
1)代表的な配合成分、主な副作用
- 鼻炎用点鼻薬
鼻づまり、鼻汁、くしゃみ、頭重の緩和を目的として、鼻腔内に適用される外用液剤です - 鼻炎用内服薬
アドレナリン作動成分が主体となり局所的な作用を目的としています
鼻の症状
急性鼻炎
鼻腔内に付着したウイルスや細菌が原因となって生じる鼻粘膜の炎症で、かぜの随伴症状として現れることが多い
アレルギー性鼻炎
アレルゲンに対する過敏反応による鼻粘膜の炎症で、花粉がアレルゲンになる場合は「花粉症」と呼ばれます
副鼻腔炎
鼻粘膜の炎症が副鼻腔にも及んだもので、慢性のものは一般に「蓄膿症」と呼ばれます
代表的な配合成分
アドレナリン作動成分
交感神経系を刺激して鼻粘膜の血管を収縮させることにより、鼻粘膜の充血や腫れを和らげます。
- ナファゾリン塩酸塩
- フェニレフリン塩酸塩
- テトラヒドロゾリン塩酸塩
などのアドレナリン作動成分が用いられます。
過度に使用されると鼻粘膜の血管が反応しなくなり、逆に血管が拡張して二次充血を招き、鼻づまり(鼻閉)がひどくなりやすい。
点鼻薬は局所(鼻腔内)に適用されますが、鼻粘膜の血管から吸収され、全身的な影響を生じることがあります
抗ヒスタミン成分
アレルギー性鼻炎の発生にヒスタミンが関与していること等から、鼻炎症状を緩和することを目的として配合されます。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- ケトチフェン
急性鼻炎の場合も、鼻粘膜が刺激に対して敏感になることから、肥満細胞からヒスタミンが遊離してくしゃみや鼻汁などの症状を生じやすくなります。
ヒスタミンの働きを抑えることで、くしゃみ、鼻汁などの症状を緩和します
抗アレルギー成分
花粉、ハウスダストなどによる鼻アレルギー症状を緩和する目的で
- クロモグリク酸ナトリウム
通常、抗ヒスタミン成分と組み合わせて配合されます。
アレルギー性でない鼻炎や副鼻腔炎に対しては無効です
鼻出血や頭痛、重篤な副作用としてショックを生じることがあります。
局所麻酔成分
鼻粘膜の過敏性や痛みや痒みを抑える目的として
- リドカイン
- リドカイン塩酸塩
などの成分が配合されている場合があります。
殺菌消毒成分
鼻粘膜を清潔に保ち、細菌による二次感染を防止する目的で
- ベンザルコニウム塩化物
- ベンゼトニウム塩化物
- セチルピリジニウム塩化物
などの殺菌消毒成分が配合されている場合があります。
いずれも陽性界面活性成分で、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌などの細菌やカンジダ等の真菌類に対する殺菌消毒作用を示します。
結核菌やウイルスには効果がありません
抗炎症成分
鼻粘膜の炎症を和らげる目的で
- グリチルリチン酸二カリウム
が配合されている場合があります。
2)相互作用、受診勧奨
相互作用
- アドレナリン作動成分は、鎮咳去痰薬に気管支拡張成分として配合されているほか、外用痔疾用薬に止血成分として配合されていたり、点眼薬にも結膜の充血を取り除く目的で配合されている場合もあります
- 抗ヒスタミン成分はかぜ薬の鼻汁止めや睡眠改善薬または乗り物酔い防止薬の成分としても配合されています
- ほかの医薬品との併用がなされた場合、同種の作用を有する成分が重複し、効き目が強すぎたり、副作用があらわれやすくなる恐れがあります
受診勧奨
- 一般用医薬品の鼻炎用点鼻薬の対応範囲は、急性・アレルギー性の鼻炎およびそれに伴う副鼻腔炎であり、蓄膿症など慢性のものは対象ではありません
- アドレナリン作動成分のように、鼻以外の器官や臓器に影響を及ぼすおそれがあるため、長期連用は避ける必要があります
- かぜ症候群などに伴う鼻炎症状の場合、鼻炎が続くことで副鼻腔炎や中耳炎などにつながる場合があるため、そのような症状の徴候に対しても注意を促すとともに医療機関を受診するようすすめるべきです
- 鼻粘膜が腫れてポリープ(鼻茸)となっている場合は、医療機関における治療が必要です
Ⅸ 眼科用薬
- 眼科用薬は目の疲れやかすみ、痒みなどの症状の緩和を目的として結膜嚢に適用する外用薬です。
症状と点眼液の種類
- 人工涙液
涙液成分を補う目的で、目の疲れや乾き、コンタクトレンズ装着時の不快感に用いられます。 - 一般点眼薬
目の疲れや痒み、結膜充血の症状を抑える成分が配合。 - アレルギー用点眼薬
アレルゲンによる目のアレルギー症状(流涙、目の痒み、結膜充血等)の緩和を目的。
抗ヒスタミン成分や抗アレルギー成分が配合。 - 抗菌性点眼薬
抗菌成分が配合され、結膜炎(はやり目)やものもらい(麦粒腫)、眼瞼炎(まぶたのただれ)などに用いられます。 - 洗眼薬
目の洗浄、眼病予防に用いられる。
涙液成分のほか、抗炎症成分、抗ヒスタミン成分などに用いられます。
点眼薬における一般的な注意
点眼方法
点眼薬は、通常、無菌的に製造されています。
点眼の際に容器の先端が眼瞼がんけん(まぶた)や睫毛しょうもう(まつげ)に触れると、雑菌が混入するため、触れないように注意しながら1滴ずつ正確に点眼します。
1滴の薬液の量は約50μL であるのに対して、結膜嚢の容積は30μL 程度とされており、一度に何滴も点眼しても効果は増しません。
むしろ薬液が鼻腔内へ流れ込み、鼻粘膜や喉から吸収されることで副作用を起こしやすくなります
保管および取扱い上の注意
別の人が使用している点眼薬は、中身が汚染されている可能性があり、共用は避ける必要があります。
また点眼薬の容器に記載されている使用期限は、未開封の状態におけるものであり、開封後長期間経過した製品は、使用を避けるべきです。
コンタクトレンズ使用時の点眼法
コンタクトレンズをしたままでの点眼は、添付文書に使用可能と記載されてない限り行うべきでありません。
通常、ソフトコンタクトレンズは水分を含みやすく、防腐剤などの配合成分がレンズに吸着されて、角膜に障害を引き起こすおそれがあるため、装着したままの点眼は避けることとされている製品が多くなっています。
ただし、1回使い切りタイプとして防腐剤を含まない製品では、ソフトコンタクトレンズ装着時にも使用できる点眼薬があります。
眼科用薬に共通する主な副作用
局所性の副作用として、目の充血や痒み、腫れがあらわれることがあります。
全身性の副作用として、皮膚に発疹 、発赤、痒みなどが現れることがあります。
相互作用
医師から処方された点眼薬を使用している場合には、一般用医薬品の点眼薬を併用すると、治療中の疾患に悪影響を生じることがあります。
目のかすみや充血等の症状が治療中の疾患に起因する可能性や、処方された薬剤の副作用である可能性もあります。
受診勧奨
一般用医薬品の点眼薬は、緑内障の症状を改善できるものはなく、成分によっては、緑内障の悪化につながるおそれがあります。
目の痛みが激しい場合には、急性緑内障、角膜潰瘍、眼球への外傷等の可能性があり、速やかに、専門医には、視力の異常、目の外観の変化、目の感覚の変化等があり、目以外に脳が原因であることが多く知られています。
1)目の調整機能を改善する配合成分
アセチルコリンの作用
自律神経系の伝達物質であるアセチルコリンは、水晶体の周りの毛様体に作用して、目の調節機能に関与しています。
目を酷使すると、アセチルコリンを分解する酵素(コリンエステラーゼ)の働きが活発になり、目の調節機能が低下し、目の疲れやかすみといった症状を生じます。
ネオスチグミンメチル硫酸塩の作用
アセチルコリンを分解する酵素(コリンエステラーゼ)の働きを抑える作用を示し、毛様体におけるアセチルコリンの働きを助けることで、目の調節機能を改善することを目的として用いられます。
2)目の充血、炎症を抑える配合成分
アドレナリン作動成分
結膜の充血を除去する目的で
- ナファゾリン塩酸塩
- ナファゾリン硝酸塩
- エフェドリン塩酸塩
- テトラヒドロゾリン塩酸塩
が配合されている場合があります。
使用時の注意点
緑内障と診断された人では、眼圧の上昇を招き、緑内障が悪化させおそれがあるため、使用前に医師等へ相談が必要です。
連用または頻回に使用すると、異常なまぶしさを感じたり、かえって充血を招くことがあります。
抗炎症成分
リゾチーム塩酸塩・グリチルリチン酸二カリウム
比較的緩和な抗炎症作用を示す成分として
- リゾチーム塩酸塩
- グリチルリチン酸二カリウム
が用いられます。
リゾチーム塩酸塩については、点眼薬であってもまれにショックのような全身性の副作用を生じることがあります。
リゾチーム塩酸塩は鶏卵アレルギーの場合、使用を避ける必要があります。
ベルベリン硫酸炎
抗炎症効果を期待してベルベリン硫酸炎が配合されている場合もあります。
イプシロン-アミノカプロン酸
炎症の原因となる物質の生成を抑える作用を示し、目の炎症を改善する効果を期待してイプシロン-アミノカプロン酸が用いられます。
プラノプロフェン
非ステロイド性抗炎症成分で、炎症の原因とな物質の生成を抑える作用をしめし、目の炎症を改善する効果を期待してプラノプロフェンが用いられます。
組織修復成分
炎症を生じた眼粘膜の組織修復を促す
- アズレンスルホン酸ナトリウム
- アラントイン
が配合されている場合がります。
収斂成分
眼粘膜のタンパク質と結合して皮膜を形成し、外部の刺激から保護する作用を期待して
硫酸亜鉛水和物がが配合されている場合がります。
3)目の乾きを改善する配合成分
結膜や角膜の乾燥を防ぐ目的で
- コンドロイチン硫酸ナトリウム
- ヒドロキシプロピルメチルセルロース
- ポリビニルアルコール
が配合されている場合場合もあります。
ヒアルロン酸ナトリウムは、有効成分としてではなく添加物として、コンドロイチン硫酸ナトリウムと結合し、粘稠性を高めます
4)目の痒みを抑える配合成分
抗ヒスタミン成分
アレルギーや結膜に炎症を生じた場合、眼粘膜が刺激に対して敏感になり肥満細胞からヒスタミンが遊離して痒みの症状を生じやすくなります。
抗ヒスタミン成分はヒスタミンの働きを抑えることにより、目の痒みを和らげる目的で
- ジフェンヒドラミン塩酸塩
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- ケトチフェン
などが配合されている場合があります。
鼻炎用点鼻薬と併用した場合には、眠気が現れることがあります
抗アレルギー成分
肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑える作用を示し、目のアレルギー症状を緩和する目的で
- クロモグリク酸ナトリウム
が通常、抗ヒスタミン成分と組み合わせて配合されます。
アレルギー性でない結膜炎などに対しては無効で、まれに重篤な副作用として、アナフィラキシーを生じることがあります
5)抗菌作用を有する配合成分
サルファ剤
細菌感染による結膜炎やものもらい、眼瞼炎などの化膿性の症状の改善を目的。
- スルファメトキサゾール
- スルファメトキサゾールナトリウム
が用いられます。
すべての細菌に効果があるわけではなく、またウイルスや真菌の感染に対する効果はないので、3~4日使用しても症状の改善がみられない場合には、眼科専門医の受診が必要です。
ホウ酸
洗眼薬として用時水に溶解し、結膜嚢の洗浄・消毒に用いられます。
また点眼薬の添加物(防腐剤)として配合されていることもあります。
6)その他の配合成分(無機塩類、ビタミン類、アミノ酸)と配合目的
無機塩類
涙液の主成分はナトリウムやカリウムなどの電解質であるため、配合成分として
- 塩化カリウム
- 塩化カルシウム
- 塩化ナトリウム
- 硫酸マグネシウム
- リン酸水素ナトリウム
- リン酸二水素カリウム
用いられます。
ビタミン成分
ビタミンA
(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールなど)
視細胞が光を感受する反応に関与していることから、視力調整等の反応を改善を期待して用いられる。
ビタミンB2
(フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムなど)
リボフラビンの活性体であるフラビンアデニンジヌクレオチドは、角膜の酸素消費能を増加させ組織呼吸を亢進する。
ビタミンB2欠乏による角膜炎を改善します。
パンテノール、パントテン酸カルシウム
自律神経系の伝達物質の産生に重要な成分であり、目の調節機能の回復を促します。
ビタミンB6
(ピリドキシン塩酸塩など)
アミノ酸の代謝や神経伝達物質の合成に関与していることから、目の疲れ等の症状を改善します。
ビタミンB12
(シアノコバラミン)
目の調節機能を助ける作用を期待。
ビタミンE
(トコフェロール酢酸エステル等)
末梢の微小循環を促進させることで、結膜充血、疲れ目などの症状を改善します。
アミノ酸成分
新陳代謝を促し、目の疲れを改善する効果を期待して
- アスパラギン酸カリウム
- アスパラギン酸マグネシウム
などが配合されている場合があります。
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