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登録販売者 勉強法⑧【第3章】Ⅳ心臓などの器官や血液に作用する薬

学習方法・ポイント
しるば
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「第3章:主な医薬品とその作用」の8回目です!

※この記事は「平成30年3月 試験問題の作成に関する手引き」をもとに作成しています。

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強心薬

  • 強心薬は、心臓の働きを整えて、動悸や息切れなどの症状改善を目的とする医薬品です。
  • 心筋に作用して、その収縮力を高める成分(強心成分)を主体として配合されます。

1)動悸、息切れ等を生じる原因と強心薬の働き

心臓の働きと動悸・息切れ

心臓は、血液を全身に循環させるポンプの働きを担っています。

通常、自律神経系によって無意識のうちに調整がなされており、正常な健康状態でも激しい運動をしたり興奮したときには動悸や息切れが現れます。

動悸

心臓の働きが低下して十分な血液を送り出せなくなった場合に、脈拍数を増やすことで血液の不足を補おうとして起こる。

息切れ

体の酸素供給が低下した場合、呼吸運動によって取り込む空気量を増やすことでそれを補おうとして起こる。

気つけ

心臓の働きの低下による一時的なめまい、立ちくらみなどの症状に対して、意識をはっきりさせるたり、活力を回復させる効果。

2)代表的な配合成分等、主な副作用

強心成分

 センソ

ヒキガエル科のシナヒキガエル等の毒腺の分泌物を集めたものを基原とする生薬。

微量で強い強心作用を示すので、1日用量中センソ 5mg を超える医薬品は劇薬に指定されています

一般用医薬品では、5mg 以下となるよう用法・用量が定められています。

皮膚や粘膜に触れると局所麻酔作用を示すため、丸薬、錠剤の固形製剤は、噛まずに服用。

通常用量においても、悪心、嘔吐の副作用が現れることがあります。

ジャコウ

シカ科のジャコウジカの雄の麝香腺じゃこうせん分泌物を基原とする生薬。

強心作用のほか、呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高めたり意識をはっきりさせます。

ゴオウ

ウシ科のウシの胆嚢中に生じた結石を基原とする生薬で、強心作用のほか、末梢血管の拡張による血圧降下、興奮を静める作用があります。

ロクジョウ

シカ科のマンシュウアカジカ又はマンシュウジカの雄のまだ角化していない、もしくは、わずかに角化した幼角を基原とする生薬。

強心作用の他、強壮、血行促進作用があります。

強心成分以外の配合成分

強心成分の働きを助ける効果や鎮静、強壮などの作用を目的とする生薬成分を組み合わせて配合されます

リュウノウ

中枢神経系の刺激作用による気つけ効果を期待して用いられる。

リュウノウ中に存在する主要な物質として、ボルネオールが配合されている場合もある。

シンジュ

ウグイスガイ科のアコヤガイ、シンジュガイまたはクロチョウガイ等の外套膜がいとうまく組成中に病的に形成された顆粒状物質を基原とする生薬。

鎮静作用を期待して用いられる。

その他

レイヨウカク、ジンコウ、動物胆(ユウタンを含む)、サフラン、ニンジン、インヨウカク等が配合されている場合がある。

漢方処方製剤

苓桂朮甘湯りょうけいじゅつかんとう

体力中等度以下で、めまい、ふらつきがあり、ときにのぼせや動悸があるものの立ちくらみ、めまい、頭痛、耳鳴り、動悸 、息切れ、神経症、神経過敏に適す。

強心作用が期待される生薬は含まれず、主に尿量増加(利尿)作用がメインとなります

  • 構成生薬としてカンゾウを含有
  • 比較的長期(1か月)ふくようされることがある
  • 高血圧、心臓病、腎臓病の診断を受けた人では、偽アルドステロン症を生じやすくなる

3)相互作用、受診勧奨

相互作用

何らかの疾患のため医師の治療を受けている場合

  • 強心薬の使用が治療中の疾患に悪影響を生じることがある
  • 動機や息切れが薬剤の副作用である可能性がある

受診勧奨

強心薬を5~6日間使用して症状の改善がみられない場合

  • 心臓以外の要因

が考えられます。

例えば、呼吸器疾患、貧血、高血圧症、甲状腺機能の異常などのほか、精神神経系の疾患です

また、激しい運動をしていないのに

  • 動悸や息切れ
  • 意識が薄れる
  • 脈が十分触れない
  • 胸部の痛みや冷や汗

を伴う場合、

早めに医師の診療を受けるなどの対応が必要です

生活習慣の改善によって、動悸や息切れを起こしにくい体質づくりが図られることも重要です

高コレステロール改善薬

  • コレステロールは細胞の構成成分で、胆汁酸や副腎皮質ホルモンの産生に重要な物質です。
  • コレステロールの産生および代謝は、主として肝臓で行われます。
  • コレステロールは水に溶けにくいため、血液中では血漿けっしょうタンパク質と結合したリポタンパク質となって存在します。

1)血中コレステロールと高コレステロール改善成分の働き

リポタンパク質の種類

リポタンパク質は比重によっていくつかの種類に分類されます。

低密度リポタンパク質(LDL)

LDLは、コレステロールを肝臓から末梢組織へと運ぶタンパク質。

俗に言う悪玉コレステロール

高密度リポタンパク質(HDL)

HDLは、末梢組織のコレステロールを取り込んで肝臓へと運ぶタンパク質

俗に言う善玉コレステロール

コレステロールの働きと生活習慣病

血液中のLDL(悪玉)が多くHDL(善玉)が少ないと、コレステロールの運搬がが末梢組織側に偏って蓄積し、

  • 心臓病や肥満
  • 動脈硬化症

などの生活習慣病につながる危険性が高くなりますが、

生活習慣病を生じる前の段階では自覚症状を伴いません

医療機関で測定する検査値として

  • LDLが140mg/dL以上
  • HDLが40mg/dL 未満
  • 中性脂肪が150mg/dL

以上のいずれかである状態を、脂質異常症といいます。

コレステロール改善薬の効能・効果

  • 高コレステロール改善薬は、血中コレステロール異常の改善、血中コレステロール異常に伴う末梢血行障害の緩和を目的として使用される医薬品です。
  • 末梢神経へのコレステロールの吸収を抑えたり、肝臓におけるコレステロールの代謝を促すなどにより、血中コレステロール異常の改善を促すとされる成分を主体として配合されます。

2)代表的な配合成分、主な副作用

高コレステロール改善成分

高コレステロール改善成分は、悪心(吐きけ)、胃部不快感、胸やけ、下痢などの副作用が現れることがあります

  1. 大豆油不鹸化物(ソイステロール)
    腸管におけるコレステロールの吸収を抑えます。
  2. リノール酸・ポリエンホスファチジルコリン
    コレステロールと結合して、代謝されやすいコレステロールエステルを形成し、肝臓において代謝を促します。
  3. パンテチン
    LDLなどの異化排泄を促進し、リポタンパクリパーゼ活性を高めて、HDL産生を高めます。

ビタミン成分

  1. ビタミンB2(リボフラビン酪酸エステルなど)
    血漿中に過剰に存在するコレステロールは、過酸化脂質となって種々の障害の原因となります。
    フラビン酵素の補酵素として細胞内の酸化還元系やミトコンドリアにおける電子伝達系に働き、糖質、脂質の生体内代謝に広く関与します。

    リボフラビンの摂取によって尿が黄色くなることがありますが、副作用などの異常ではありません

  2. ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)
    ビタミンEは、コレステロールからの過酸化脂質の生成を抑えるほか、末梢血管における血行を促進しる作用があり、血中コレステロール異常に伴う末梢血行障害(手足の冷え、痺れ)を緩和します。

同様の作用を期待して、ガンマ-オリザノールが配合されている場合もあります

3)生活習慣改善へのアドバイス、受診勧奨等

生活習慣改善へのアドバイス

コレステロールは、食事から摂取された糖および脂質から主に産生されます。

高コレステロール改善薬による対処は、食事療法・運動療法の補助的な位置づけです

目安としてウエスト周囲径(腹囲)が、

  • 男性なら85cm
  • 女性なら90cm

以上である場合には生活習慣病を生じるリスクが高まるとされており、血中コレステロール値に留意することが重要です。

高コレステロール改善薬は、ウエスト周囲径を減少させるなどの痩身効果を目的とする医薬品ではありません

受診勧奨等

生活習慣の改善をはかりつつしばらくの間(1~3か月)高コレステロール改善薬の使用をつづけても改善がみられない場合

  • 遺伝的または内分泌的要因も疑われる
  • いったん使用を中止し、医師の診療を受けるなどの対応が必要です

 貧血用薬(鉄製剤)

  • 貧血は、その原因によりビタミン欠乏性貧血、鉄欠乏性貧血などに分類されます。
  • 一般的な症状として、疲労、動悸、息切れ、めまい、皮膚や粘膜の蒼白、下半身のむくみなどが現れます。
  • 貧血用薬(鉄製剤)は、鉄欠乏性貧血に対して不足している鉄分を補充し、造血機能の回復を図る医薬品です。

1)貧血症状と鉄製剤の働き

鉄欠乏性貧血

鉄分の摂取不足があっても、初期には貯蔵鉄や血清鉄が減少するのみでヘモグロビン量自体は変化せず、貧血症状は現れません

しかし、持続的に鉄が欠乏すると、ヘモグロビンが減少して貧血症状が現れます。

鉄欠乏状態を生じる要因は、

  • 鉄分の摂取不足
  • 消化管からの吸収障害
  • 消化管出血

などが考えられます。

月経血損失のある女性、鉄要求量の増加する妊婦・母乳を与える女性では、鉄欠乏状態を生じやすいです

ビタミンB12 が不足して生じる巨赤芽球貧血は悪性貧血と呼ばれる

2)代表的な配合成分、主な副作用

 鉄分

不足した鉄分を補充する目的で、

  • フマル酸第一鉄
  • 溶性ピロリン酸第二鉄
  • 可溶性含糖酸化鉄
  • クエン酸鉄アンモニウム

などが用いられます。

鉄製剤を服用すると便が黒くなることがありますが副作用ではありません

鉄以外の金属成分

  • 硫酸銅
    銅はヘモグロビンの産生過程で、鉄の代謝や輸送に重要な役割を持つ。
    補充した鉄分を利用してヘモグロビンが産生されるのを助けます。
  • 硫酸コバルト
    コバルトは赤血球ができる過程で必要不可欠なビタミンB12の構成成分。
    骨髄での造血機能を高めます。
  • 硫酸マンガン
    マンガンは、糖質・脂質・タンパク質の代謝をする際に働く酵素の構成物質。
    エネルギー合成を促進します。

ビタミン成分

ヘモグロビン産生に必要なビタミンとして、

  • ビタミンB6
    (ピリドキシン塩酸塩など)

正常な赤血球の形成に働くビタミンとして、

  • ビタミンB12
    (シアノコバラミン)
  • 葉酸

消化管内で鉄が吸収されやすくするビタミンとして、

  • ビタミンC
    (アスコルビン酸など)

が用いられます。

主な副作用

貧血用薬(鉄製剤)の主な副作用として、

  • 悪心、嘔吐
  • 食欲不振
  • 胃部不快感
  • 腹痛
  • 便秘、下痢

などの胃腸障害が知られています。

鉄分の吸収は空腹時のほうが高いですが、消化器系への副作用を軽減するには、食後に服用することが望ましいです

3)相互作用、受診勧奨

相互作用

複数の貧血用薬(鉄製剤)を併用すると、鉄分の過剰摂取となり、胃腸障害や便秘などの副作用が起こりやすくなります

服用前後30分にタンニン酸を含む飲食物

  • 緑茶
  • 紅茶
  • コーヒー
  • ワイン

などを摂取すると、タンニン酸と反応して鉄の吸収が悪くなります。

服用前後はそれらの摂取を控えましょう

受診勧奨等

食生活の改善

貧血のうち鉄製剤で改善できるのは、鉄欠乏性貧血のみです。

特に他の疾患がないのに貧血になる場合は、食生活の改善が必要です

なお、貧血の症状がみられる以前から予防的に貧血用薬(鉄製剤)を使用することは適当ではありません。

医療機関に受診勧奨をする場合

食生活を改善し、鉄製剤の使用を2週間程度続けても症状の改善がみられない場合
⇒慢性的な血液の損失が原因で貧血症状が起きている可能性があります。

この場合、基礎疾患の治療が優先されるべきで、一般用医薬品を継続するのは適当ではありません

その他の循環器用薬

  • その他の循環器用薬は、生薬成分と、生薬成分以外の成分に分けられます。

1)代表的な配合成分等、主な副作用

生薬成分

コウカ

キク科のベニバナの管状花をそのまま又は黄色色素の大部分を除いたもので、ときに圧縮して板状としたものを基原とする生薬

末梢の血行を促して鬱血を除く作用があり、冷え症及び血色不良に用いられます。

生薬成分以外の成分

ユビデカレノン(コエンザイムQ10)

エネルギー代謝に関与する酵素の働きを助ける成分。

摂取された栄養素からエネルギーが産生される際にビタミンB群とともに働きます。

心筋の酸素利用効率を高めて収縮力を高めることによって血液循環の改善効果を示し、動悸、息切れ、むくみの症状に用いられます。

小児において心疾患による動悸、息切れ、むくみには、医師の診療が優先されるべきであり、15歳未満の小児向けの製品はありません。

ヘプロニカート、イノシトールヘキサニコチネート

いずれもニコチン酸が遊離し、そのニコチン酸の働きによって末梢の血液循環を改善する作用を示します。

ビタミンEと組み合わせて用いられる場合が多い。

ルチン

ビタミン様物質の一種で、高血圧等における毛細血管の補強、強化を期待して用いられます。

漢方処方製剤

三黄瀉心湯さんおうしゃしんとう

体力中等度以上で、のぼせ気味で顔面紅潮し、精神不安、みぞおちのつかえ、便秘傾向などのあるものの高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり等)、鼻血、痔、出血、便秘、更年期障害、血の道症に適す。

体の虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人、だらだら出血が長引いている人には不向き。

構成生薬としてダイオウを含みます

七物降下湯しちもつこうかとう

体力中等度以下で、顔色が悪くて疲れやすく、胃腸障害のないものの高血圧に伴う随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重)に適す。

胃腸が弱く、下痢しやすい人では、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向き。

小児向けの漢方処方ではなく、15歳未満の小児への使用は避ける必要があります

2)相互作用、受診勧奨

相互作用

コエンザイム Q10 については、食品の素材として流通することが可能となっており、そうした食品が合わせて摂取された場合、胃部不快感や吐きけ、下痢等の副作用が現れやすくなるおそれがあります。

受診勧奨等

高血圧や心疾患に伴う諸症状を改善する医薬品は、体質の改善または症状の緩和を主眼としており、いずれも高血圧や心疾患そのものの治療を目的とするものではありません。

これらの医薬品の使用は補助的なものであり、高血圧や心疾患そのものへの対処については、医療機関の受診がなされるなどの対応が必要です

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