「第3章:主な医薬品とその作用」の6回目!
※この記事は「平成30年3月 試験問題の作成に関する手引き」をもとに作成しています。
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胃の薬(制酸薬、健医薬、消化薬)
- 胃の薬には、制酸薬、健医薬、消化薬があります。
- 一般用医薬品には、制酸、胃粘膜保護、健胃、消化、整腸、鎮痛鎮痙消泡等、成分を組み合わせた総合胃腸薬もあります。
1)胃の不調、薬が症状を抑える仕組み
胃の不調
症状
胃の働きに以上が生じると、
- 胃液の分泌量の増減
- 胃液の食道への逆流
- 胃自体を保護する働き
- 胸やけ・胃の不快感
- 胃もたれ・食欲不振
などの症状が現れます。
原因
吐き気や嘔吐は延髄にある嘔吐中枢の働きにより起こるます。
ほかにも副交感神経系を通じて、胃の痙攣によって嘔吐中枢が刺激され、吐きけが起きる場合もあります
薬が症状を抑える仕組み
- 制酸薬
胃液の分泌亢進による胃酸過多や、胸やけ、吐きけなどの症状を緩和するのが目的。
成分には胃酸の働きを弱めるもの胃液の分泌を抑えるものがある。 - 健胃薬
弱った胃の働きを高めるのが目的。
生薬成分には独特の味や香りで唾液や胃液の分泌を促し、胃の働きを活発にする作用がある。 - 消化薬
炭水化物、脂質、タンパク質などの分解に働く酵素を補い、胃や腸の内容物の消化を助けるのが目的。 - その他・一般用医薬品
一般用医薬品には、制酸、胃粘膜保護、健胃、消化、整腸、鎮痛鎮痙消泡等、成分を組み合わせた総合胃腸薬もある。
制酸と健胃のように相反する作用が一緒に配合されている場合もあるが、総じて効果がもたらされると考えられている。
症状がはっきりしている場合には、症状にあった成分のみが配合された製品を選択することが望ましい!
2)代表的な配合成分等、主な副作用、相互作用、受診勧奨
制酸成分
制酸成分の種類
- 炭酸水素ナトリウム(重曹)
- アルミニウムを含む成分
乾燥水酸化アルミニウムゲル、ジヒドロキシアルミニウムモノアセテート - マグネシウムを含む成分
ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム - アルミニウムとマグネシウムの両方を含む成分
合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム - 沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等のカルシウムを含む成分
制酸成分の作用
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは
- 胃酸中和作用
- 胃粘膜にゼラチン状の皮膜を形成・保護
する作用があります。
ボレイ(イボタガキ科のカキの貝殻を基原とする生薬)などの生薬成分は、含有する炭酸カルシウムにより制酸作用を示します
制酸成分・服用時の注意点
- 炭酸飲料との服用
制酸成分は、酸度の高い食品と一緒に使用すると中和作用が低下する - 透析療法を受けている人
アルミニウムを含む成分については、アルミニウム脳症およびアルミニウム骨症を引き起こす場合があり、使用を避ける必要がある
透析治療を受けていない人でも、長期連用は避ける - 腎臓病の診断を受けた人
ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの排泄が遅れたり、体内に貯留しやすいため、医師または薬剤師に相談がされるべき
カルシウム、アルミニウムを含む成分は止瀉薬、マグネシウムは瀉下薬にも配合されるので、便秘、下痢などの症状にも注意しましょう
健胃成分
味覚や嗅覚を刺激するのが目的なので、オブラートで包む等、味や香りを遮蔽すると効果が期待できません
味覚や嗅覚を刺激する健胃成分
- オウバク、オウレン(苦味)
オウバク
⇒ミカン科のキハダ又はフェロデンドロン・キネンセの周皮を除いた樹皮を基原とする生薬
オウレン
⇒キンポウゲ科のオウレン、コプティス・キネンシス、コプティス・デルトイデア又はコプティス・テータの根をほとんど除いた根茎を基原とする生薬 - センブリ(苦味)
リンドウ科のセンブリの開花期の全草を基原とする生薬 - ゲンチアナ、リュウタン(苦味)
ゲンチアナ
⇒リンドウ科のゲンチアナの根及び根茎を基原とする生薬
リュウタン
⇒リンドウ科のトウリンドウ等の根及び根茎を基原とする生薬 - ユウタン(苦味)
クマ科のヒグマその他近縁動物の胆汁を乾燥したものを基原とする生薬 - ケイヒ(香り)
クスノキ科のシンナモムム・カッシアの樹皮又は周皮の一部を除いたものを基原とする生 - その他(香り)
香りによる健胃作用を期待して用いられる生薬
コウボク、ショウキョウ、チョウジ、チンピ、ソウジュツ、ビャクジュツ、ウイキョウ、オウゴン
味覚や嗅覚に対する刺激以外の健胃成分
- 乾燥酵母
栄養素を補給し、胃の働きを高める - カルニチン塩化物
胃液分泌を促す、胃の運動を高める、胃壁の循環血流を増すなどの作用
消化成分
消化成分の種類
炭水化物、脂質、タンパク質、繊維質などの分解に働く酵素を補うことを目的として
- ジアスターゼ
- プロザイム
- ニューラーゼ
- リパーゼ
- セルラーゼ
などが配合されている場合があります。
胆汁末や動物胆(ユウタン含む)、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸は、胆汁の分泌を促す作用があり、消化を助ける効果を期待して用いられます
消化成分の作用
胆汁の分泌を促す作用のある成分(利胆作用)は肝臓の肝臓の働きを高める作用もありますが、肝臓病の診断を受けた人では症状を悪化させることがあります。
肝臓病の診断を受けた人は、使用する前に、治療を行った医師、または調剤した薬剤師に相談するべきです
その他の成分
胃粘膜保護・修復成分
作用
- 胃粘液の分泌を促す
- 胃粘膜を覆って胃液による消化から保護
- 荒れた胃粘膜の修復を促す
これらの作用を期待して配合されている成分は
- アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)
- アルジオキサ
- スクラルファート
- ゲファルナート
- ソファルコン
- テプレノン
- セトラキサート塩酸塩
- トロキシピド
- 銅クロロフィリンカリウム
- 銅クロロフィリンナトリウム
- メチルメチオニンスルホニウムクロライド
服用時の注意点
- 透析を受けている人
アルジオキサ、スクラルファートはアルミニウムを含むため使用を避ける。
透析を受けていなくとも長期使用を避ける。 - 腎臓病の人
アルジオキサ、スクラルファートはアルミニウムが体内に貯留しやすい。
使用する前に、治療を行った医師、または調剤した薬剤師に相談されるべき。 - 肝臓病の人
ソファルコン、テプレノンについては、肝機能障害を生じることがある。
使用する前に、治療を行った医師、または調剤した薬剤師に相談されるべき。 - 血栓がある・血栓の可能性のある人
セトラキサート塩酸塩は、代謝されトラネキサム酸を生じるため、血栓が分解されにくくなる。
胃粘膜の炎症を和らげる成分(抗炎症成分)
胃粘膜の炎症を和らげる目的で
- グリチルリチン酸二カリウム
- グリチルリチン酸ナトリウム
- グリチルリチン酸モノアンモニウム
- カンゾウ(生薬成分)
が配合されている場合があります。
胃粘膜の炎症を和らげるのは「グリチルリチン〇〇」と覚えましょう
消泡成分
消化管内に発生した気泡の分離を促す目的で
- ジメチルポリシロキサン
(別名ジメチコン)
が配合されている場合があります。
胃液分泌抑制成分
胃液の分泌は副交感神経系からの刺激で亢進します。
過剰な胃液の分泌を抑える目的で
- ロートエキス
- ピレンゼピン塩酸塩
が配合されている場合があります。
ピレンゼピン塩酸塩は、消化管の運動にはほとんど影響を与えずに胃液の分泌を抑えます
ピレンゼピン塩酸塩の注意点
消化管以外では一般的なコリン作用のため
- 排尿困難
- 動悸
- 目のかすみ
を生じることがあります。
使用後は乗り物または機械類の運転操作を避ける必要があります
漢方処方製剤
胃の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤は
- 安中散
- 人参湯
- 平胃散
- 六君子湯
いずれも構成生薬としてカンゾウを含みます!
安中散あんちゅうさん
- 体力中等度以下
- 腹部筋肉が弛緩する傾向にあり胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、食欲不振、吐きけなどを伴う
- 神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱に適す
人参湯にんじんとう
- 体力虚弱
- 疲れやすく、手足などが冷えやすい
- 胃腸虚弱、下痢、嘔吐、胃痛、腹痛、急・慢性胃炎に適す
下痢、嘔吐に用いる場合には、1週間位使用しても症状の改善しないときは、中止し相談が必要です
平胃散へいいさん
- 体力中等度以上
- 胃がもたれて消化が悪くときに吐きけ、食後に腹が鳴って下痢の傾向のある人
- 食べすぎによる胃のもたれ、急・慢性胃炎、消化不良、食欲不振に適す
5~6回使用しても症状の改善しないときは、中止し相談が必要です
六君子湯りっくんしとう
- 体力中等度以下
- 胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえて疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすい
- 胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐に適す
まれに肝機能障害を生じることがあります
受診勧奨
慢性的に症状がぶり返し、医薬品が手放せないような場合、
- 食道裂孔ヘルニア
- 胃・十二指腸潰瘍
- 胃ポリープ
などの可能性も考えられ、医療機関を受診するなどの対応が必要です。
一般用医薬品の胃薬は、一時的な胃の不調に伴う諸症状を緩和する目的で使用されるものです
その他にも
- 嘔吐に発熱や下痢、めまいや興奮を伴う
- 胃の中に吐くものがないのに吐きけが治まらない
特に、乳幼児や高齢者では脱水症状や呼吸困難を生じることもあるため、医師の診療が優先されるべきです。
腸の薬( 整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)
- 腸の薬には、整腸薬、止瀉薬、瀉下薬に大別され、そのほか、漢方処方製剤も使用されます。
- 腸における消化、栄養成分や水分の吸収が正常に行われなかったり、腸管が内容物を送り出す運動に異常が生じると、便秘や軟便、下痢といった症状が現れます。
1)腸の不調、薬が症状を抑える仕組み
腸の不調
下痢の要因
下痢が起こる主な要因は
急性の下痢では体の冷え・消化不良・消化管感染が原因となる。
慢性の下痢では腸自体に病変を生じている可能性があります。
便秘の要因
便秘が起こる主な要因は
一過性の便秘では、ストレスや医薬品の副作用が原因となる。
慢性の便秘では、加齢、病気による腸の働きの低下や便意を我慢し続けることによる腸管の感受性の低下などがあります。
薬が症状を抑える仕組み
整腸薬の目的・配合成分
整腸薬は
- 腸の調子や便通を整える
- 腹部膨満感
- 軟便・便秘
に用いられることを目的としています。
配合成分には、腸内細菌の数やバランスを整え、腸の活動を促す成分が用いられます
止瀉薬の目的・配合成分
止瀉薬は
- 下痢
- 食あたり
- 吐き下し
- 軟便
に用いられることを目的としています。
配合成分は、腸やその機能に直接働きかけるものや、腸管内の環境を整える効果を期待するものもあります
瀉下薬(下剤)の目的・配合成分
瀉下薬は
- 便秘に伴う肌荒れ
- 頭重・のぼせ
- 吹き出物
- 食欲不振
- 腹部膨満・腸内異常発酵
- 痔の症状の緩和
に用いられることを目的としています。
配合成分には、腸管を刺激するもの、糞便のかさや水分量を増すものがあります
2)代表的な配合成分等、主な副作用
整腸成分
生菌成分
腸内細菌のバランスを整えることを目的として
- ビフィズス菌
- アシドフィルス菌
- ラクトミン
- 乳酸菌
- 酪酸菌
が用いられます。
生薬成分
整腸作用を期待して
- ケツメイシ
- ゲンノショウコ
- アセンヤク
が配合されている場合があります。
トリメブチンマレイン酸塩
トリメブチンマレイン酸塩は、消化管の平滑筋に直接作用して、消化管の運動を調整します。
まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることがあります
止瀉成分
収斂成分
腸粘膜のタンパク質と結合して膜を形成し、腸粘膜をひきしめ(収斂)腸粘膜を保護する目的で
- 次没食子酸(じもつしょくしさんビスマス)
- 次硝酸ビスマス
- タンニン酸アルブミン
などが配合されている場合があります。
オウレン、オウバクは、収斂作用のほか、抗菌作用、抗炎症作用も期待して用いられます
<服用時の注意点>
- 収斂成分を主体とする止瀉薬
細菌性の下痢や食中毒のときに使用して腸の運動を鎮めると、かえって状態を悪化させるおそれがある。 - ビスマスを含む成分
海外において長期連用した場合に精神神経症状が現れたとの報告がある。
1週間以上の連続使用はしないこと。
服用時は飲酒を避ける。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の診断を受けた人では、医師などに相談する必要がある。
血液-胎盤関門を通過するため、妊婦または妊娠中は使用を避ける。 - タンニン酸アルブミン
アルブミンは、牛乳に含まれるタンパク質から作られるため、牛乳アレルギーの人は使用を避ける必要がある。
まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがある。
ロペラミド塩酸塩
食べすぎ・飲みすぎによる下痢、寝冷えによる下痢に用いられることを目的とする。
食あたり・水あたり(感染性など)は適用対象外です
<服用時の注意点>
- 一般用医薬品では、15歳未満の小児には適用がない。
- 2~3日の短期間の使用にとどめる。
- 効き目が強すぎて便秘、まれにイレウス様症状を生じることがある。
- めまいや眠気が現れることがある。
- 乳汁中に移行するため、使用期間中の授乳を避けるべきである。
腸内殺菌成分
細菌感染による下痢の症状を鎮める目的として
- ベルベリン塩化物
- タンニン酸ベルベリン
- アクリノール
- 木クレオソート
が用いられます。
これらは通常の腸内細菌に対しても抗菌作用を示しますが、
- ブドウ球菌や大腸菌などに対する抗菌作用の方が優位であること
- 下痢状態では腸内細菌のバランスが乱れている
ため、結果的に腸内細菌のバランスを正常に近づけると考えられています。
<ベルベリンの作用>
生薬のオウバクやオウレンの中に存在する物質のひとつであり、抗菌作用のほか、抗炎症作用も併せ持ちます。
<タンニン酸ベルベリン>
タンニン酸ベルベリンは、タンニン酸(収斂作用)とベルベリン(抗菌作用)の化合物であり、消化管内ではタンニン酸とベルベリンに分かれて、それぞれ止瀉に働くことを期待して用いられます。
<木クレオソート>
木クレオソートは、殺菌作用のほか、局所麻酔作用もあり、過剰な腸管の運動を正常化し、止瀉作用もあります。
吸着成分
腸管内の異常発酵等によって生じた有害な物質を吸着させる目的で
- 炭酸カルシウム
- 沈降炭酸カルシウム
- 乳酸カルシウム
- リン酸水素カルシウム
- 天然ケイ酸アルミニウム
- ヒドロキシナフトエ酸アルミニウム
などが配合されている場合があります。
同様の作用を期待してカオリン、薬用炭も用いられます
瀉下成分
小腸刺激性瀉下成分
腸内容物の急速な排除を目的として
- ヒマシ油
が用いられます。
ヒマシ(トウダイグサ科のトウゴマの種子)から得られた油を用いた生薬で、小腸でリパーゼの働きによる分解物が、小腸を刺激し瀉下作用をもたらします
<服用時の注意点>
急激で強い瀉下作用があるため
- 激しい腹痛または嘔吐の症状がある
- 妊娠中・授乳中の女性
- 3歳未満の乳幼児
では使用を避けることとされています。
防虫剤や殺鼠剤のような脂溶性の物質による中毒の際には使用を避ける必要があります
大腸刺激性瀉下成分
大腸を刺激して排便を促す目的で
- センナ
- センノシド
- ダイオウ
- カサントラノール
- ビサコジル
- ピコスルファートナトリウム
などが用いられます。
<服用時の注意点>
- センナおよびセンノシドは、流産・早産を誘発するおそれがある
⇒妊娠中の女性では、使用を避ける。 - センナ、センノシド、ダイオウ、カサントラノールは、一部が乳汁中に移行する
⇒授乳中の女性は使用を避ける。
<概要>
- センナ
⇒大腸を刺激して排便を促す - センノシド
⇒胃や小腸で消化されず、大腸に生息する腸内細菌で分解。分解生成物の刺激で瀉下作用をもたらす - ダイオウ
⇒大腸刺激性瀉下成分として用いられる - ビサコジル
⇒結腸や直腸の粘膜を刺激して、排便を促す
⇒腸溶性成分の場合、服用前後1時間以内は制酸成分を含む胃腸薬や牛乳の摂取は避ける - ピコスルファートナトリウム
⇒胃や小腸では分解されず、大腸の腸内細菌によって分解されて、大腸への刺激作用を示す
無機塩類
「腸内容物の浸透圧を高め、糞便中の水分量を増やす」「大腸を刺激して排便を促す」目的で
- 酸化マグネシウム
- 水酸化マグネシウム
- 硫酸マグネシウム
- 硫酸ナトリウム
が配合されている場合があります。
<副作用等>
- 腎臓病の診断を受けた人
⇒マグネシウム成分は、高マグネシウム血症を生じるおそれがある - 心臓病の診断を受けた人
⇒硫酸ナトリウムは、血液中の電解質のバランスが損なわれ、心臓の負担が増加し、心臓病を悪化させるおそれがある
膨潤性瀉下成分
腸管内で水分を吸収して腸内容物に浸透し、糞便のかさを増し糞便を柔らかくする目的で
- カルメロースナトリウム
- カルメロースカルシウム
が配合されている場合があります。
効果を高めるため、十分な水分摂取が重要です
ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)
腸内容物に水分が浸透しやすくする作用があり、糞便中の水分量を増して柔らかくすることを期待して用いられます。
マルツエキス
- 主成分である麦芽糖が腸内細菌によって分解(発酵)して生じるガスによって便通を促す。
- 瀉下薬としては比較的作用が穏やかなため、主に乳幼児の便秘に用いられる。
水分不足に起因する便秘には効果が期待できません
漢方処方製剤
腸の不調を改善する漢方処方製剤は
- 桂枝加芍薬湯
- 大黄甘草湯
- 大黄牡丹皮湯
- 麻子仁丸
があります。
桂枝加芍薬湯及び大黄甘草湯はカンゾウを含み、大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯、麻子仁丸はダイオウを含みます
桂枝加芍薬湯
- 体力中等度以下
- 腹部膨満感のある人のしぶり腹、腹痛、下痢、便秘に適す
しぶり腹とは、便意があるのに、少量もしくは、便が出ない状態です
大黄甘草湯
- 体力に関わらず広く応用
- 便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ、湿疹・皮膚炎、ふきでもの、食欲不振、腹部膨満、腸内異常発酵、痔などの症状の緩和に適す
大黄牡丹皮湯
- 体力中等度以上
- 下腹部痛があって、便秘しがちなものの
- 月経不順、月経困難、月経痛、便秘、痔に適す
月経不順、月経困難に対して用いる場合には、比較的長期間(1ヶ月位)服用されることがあります
麻子仁丸
- 体力中等度以下
- ときに便が硬く塊状なものの
- 便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ、湿疹・皮膚炎、ふきでもの、食欲不振、腹部膨満、腸内異常醗酵、痔の緩和に適す
5~6日間服用しても症状の改善しないときは、専門家に相談が必要です
3)相互作用、受診勧奨
相互作用
整腸薬や止瀉薬、瀉下薬が他の医薬品の有効性や安全性に影響をおよぼすことがあります
駆虫薬とヒマシ油の併用
駆虫薬は、駆除した寄生虫の排出を促すため瀉下薬が併用されることがあります。
ただし、ヒマシ油と併用した場合には駆虫成分が吸収されやすくなり、全身性の副作用を生じる危険性が高まるため、ヒマシ油と駆虫薬の併用は避けることとされています。
整腸剤と止瀉薬の併用
生菌成分が配合された整腸薬と、腸内殺菌成分の止瀉薬が併用された場合、生菌成分の働きが腸内殺菌成分によって弱められます。
複数の瀉下薬を併用
激しい腹痛を伴う下痢や、脱水症状などを生じるおそれがあります。
食事との相互作用
食品にも緩下作用を示すものがあり、瀉下剤との相互作用にも注意するべきです。
受診勧奨
一般用医薬品の使用はあくまで対症療法であり、症状が長引くような場合には、医師の診療を受けるなどの対応が必要です
下痢の場合
次のような場合には、医療機関を受診して治療がなされるべきです。
- 下痢に発熱を伴う場合
食中毒菌等による腸内感染症の可能性があり、虫垂炎や、虚血性大腸炎のような重大な疾患に起因する場合もあります。 - 便に血が混じっている場合
赤痢や腸管出血性大腸菌(O-157等)、潰瘍性大腸炎、大腸癌などによる腸管出血の可能性があります。 - 粘血便が続く場合
粘血便が続いているような場合には、腸の炎症性腸疾患の可能性もあります。
便秘の場合
便秘については、食生活等の生活習慣の改善が図られることが重要であり、瀉下薬の使用は一時的なものにとどめることが望ましいとされています。
刺激性瀉下成分を主体とする瀉下薬は、繰り返し使用すると腸管の感受性が低下して効果が弱くなるため、常用を避けましょう
- 瀉下薬が手放せない慢性の便秘
医師の診療を受けることが必要です。 - 便秘に伴い吐きけや嘔吐がある場合
急性腹症の可能性があるため、医師の診療を受けるなどの対応が必要です。
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