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【令和5年度・奈良②】登録販売者過去問解説【人体の働きと医薬品】

過去問題・解説

問 31
医薬品の有効成分の吸収に関する記述について、正しいものの組み合わせを1つ選びなさい。
a 一般に、消化管からの吸収は、消化管が積極的に医薬品の有効成分を取り込む現象である。
b 消化管における有効成分の吸収量や吸収速度は、消化管内容物や他の医薬品の作用によって影響を受ける。
c 坐剤の有効成分は、直腸内壁の粘膜から吸収され、容易に循環血液中に入り、初めに肝臓で代謝を受けてから全身に分布する。
d 眼の粘膜に適用する点眼薬の有効成分は、鼻涙管を通って鼻粘膜から吸収されることがあるため、眼以外の部位に到達して副作用を起こすことがある。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

【正解3】
a×一般に、消化管からの吸収は、「濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散していく」現象である。
b○
c×坐剤の有効成分は、直腸内壁の粘膜から吸収され、循環血液中に入り、初めに肝臓で代謝を「受けることなく」全身に分布する。
d○

問 32
薬の代謝及び排泄に関する記述について、正しいものの組み合わせを1つ選びなさい。

a 肝初回通過効果とは、全身循環に移行する医薬品の有効成分の量が、消化管で吸収された量よりも、肝臓で代謝を受けた分だけ少なくなることをいう。
b 医薬品の有効成分の多くは、血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成することによって、薬物代謝酵素による代謝を受けやすくなる。
c 腎機能が低下した人では、正常の人よりも医薬品の有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくいため、医薬品の効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする。
d 小腸などの消化管粘膜には、代謝活性がない。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

【正解2】
a○
b×複合体を形成している有効成分の分子は薬物代謝酵素の作用で「代謝されない」。
c○
d×小腸などの消化管粘膜にも、代謝活性が「ある」。

問 33
医薬品の体内での働きに関する記述の正誤について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。

a 循環血液中に移行した有効成分は、血流によって全身の組織・器官へ運ばれて作用するが、多くの場合、標的となる細胞に存在する受容体、酵素、トランスポーターなどのタンパク質と結合し、その機能を変化させることで薬効や副作用を現す。
b 血中濃度は、ある時点でピーク(最高血中濃度)に達し、その後は低下していくが、これは吸収・分布の速度が代謝・排泄の速度を上回るためである。
c 医薬品を十分な間隔をあけずに追加摂取して血中濃度を高くしても、ある濃度以上になるとより強い薬効は得られなくなり、有害な作用(副作用や毒性)も現れにくくなる。
d 全身作用を目的とする医薬品の多くは、使用後の一定期間、その有効成分の血中濃度が治療域に維持されるよう、使用量及び使用間隔が定められている。

a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 誤 正 正
4 正 正 誤 誤
5 正 正 正 正

【正解2】
a○
b×血中濃度は、ある時点でピーク(最高血中濃度)に達し、その後は低下していくが、これは「代謝・排泄」の速度が「吸収・分布」の速度を上回るためである。
c×ある濃度以上になるとより強い薬効は得られなくなり、薬効は頭打ちとなるが、一方、有害な作用(副作用や毒性)は現れ「やすく」なる。
d○

問 34
医薬品の剤形及び適切な使用方法に関する記述について、正しいものの組み合わせを1つ選びなさい。

a 錠剤は、内服用医薬品の剤形として最も広く用いられており、一定の形状に成型された固形製剤であるため、有効成分の苦味や刺激性を口中で感じることなく服用できる。
b チュアブル錠は、腸内での溶解を目的として錠剤表面をコーティングしているものであるため、口の中で舐めたり噛み砕いて服用してはならない。
c 経口液剤では、苦味やにおいが強く感じられることがあるので、小児に用いる医薬品の場合、白糖等の糖類を混ぜたシロップ剤とすることが多い。
d カプセル剤は、カプセル内に散剤や液剤等を充填した剤形であり、カプセルの原材料として乳糖が広く用いられているため乳成分に対してアレルギーを持つ人は使用を避けるなどの注意が必要である。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

【正解2】
a○
b×記述は、「腸溶錠」の内容である。
チュアブル錠は、「口の中で舐めたり噛み砕いたりして服用する剤形であり、水なしでも服用できる」。
c○
d×カプセルの原材料として広く用いられている「ゼラチンはブタなどのタンパク質を主成分としているため、ゼラチン」に対してアレルギーを持つ人は使用を避けるなどの注意が必要である。

問 35
医薬品の副作用である重篤な皮膚粘膜障害に関する記述の正誤について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。

a 皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症のいずれも、発症機序の詳細が判明しておらず、また、その発症は非常にまれであるが、一旦発症すると多臓器障害の合併症等により致命的な転帰をたどることがある。
b 38℃以上の高熱、目の充血、目やに(眼分泌物)、まぶたの腫れ、目が開けづらい、口唇の違和感、口唇や陰部のただれ等の症状が持続したり、又は急激に悪化したりする場合には、原因と考えられる医薬品の使用を中止せず、直ちに皮膚科の専門医を受診する必要がある。
c 両眼に現れる急性結膜炎(結膜が炎症を起こし、充血、目やに、流涙、痒み、腫れ等を生じる病態)は、皮膚や粘膜の変化とほぼ同時期又は半日~1日程度先行して生じる。
d 皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症は、いずれも原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多く、医薬品の使用開始から1ヶ月を経過すると、その後発症することはないため、医薬品の使用開始直後は特に注意が必要である。

a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

【正解4】
a○
b×原因と考えられる医薬品の使用を「中止して」、直ちに皮膚科の専門医を受診する必要がある。
c○
d×いずれも原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いが、「1ヶ月以上経ってから起こることもある」。

問 36
医薬品の副作用である偽アルドステロン症に関する記述について、正しいものの組み合わせを1つ選びなさい。

a 体内にカリウムが貯留し、体からナトリウムが失われることによって生じる病態である。
b 副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加することにより生じる。
c 主な症状として、血圧上昇、手足のしびれ、喉の渇き、吐きけ・嘔吐等がある。
d 医薬品と食品との間の相互作用によって起きることがある。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

【正解4】
a×体内に「塩分(ナトリウム)と水」が貯留し、体から「カリウム」が失われることによって生じる病態である。
b×副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加「していないにもかかわらず」生じる。
c○
d○

問 37
精神神経系に現れる副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。

a 医薬品の副作用によって中枢神経系が影響を受け、物事に集中できない、落ち着きがなくなる等のほか、うつ等の精神神経症状を生じることがある。
b 精神神経症状は、医薬品の大量服用や長期連用、乳幼児への適用外の使用等の不適正な使用がなされた場合に限って発生する。
c 無菌性髄膜炎は、医薬品の副作用が原因の場合、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、関節リウマチ等の基礎疾患がある人で発症リスクが高い。
d 医薬品の副作用を原因とする無菌性髄膜炎を過去に経験した人であっても、その症状が軽度であった場合には、再度、同じ医薬品を使用しても再発するおそれはない。

a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 誤 誤 正 正
5 誤 正 正 誤

【正解2】
a○
b×医薬品の大量服用や長期連用、乳幼児への適用外の使用等の不適正な使用がなされた場合に「限らず、通常の用法・用量でも発生することがある」。
c○
d×過去に軽度の症状を経験した人の場合、再度、同じ医薬品を使用することにより「再発し、急激に症状が進行する場合がある」。

問 38
医薬品の副作用である喘息に関する記述の正誤について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。

a 原因となる医薬品の使用後、短時間(1時間以内)のうちに鼻水・鼻づまりが現れ、続いて咳、喘鳴及び呼吸困難を生じる。
b 内服薬のほか、坐薬や外用薬でも誘発されることがある。
c 合併症を起こさない限り、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失すれば症状は寛解する。
d 軽症例でも 24時間以上持続し、重症例では窒息による意識消失から死に至る危険もある。

a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 誤

【正解2】
a○
b○
c○
d×「軽症例は半日程度で回復するが、重症例は 24時間以上持続し」、窒息による意識消失から死に至る危険もある。

問 39
循環器系に現れる副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。

a うっ血性心不全とは、心筋の自動性や興奮伝導の異常が原因で心臓の拍動リズムが乱れる病態である。
b 不整脈とは、全身が必要とする量の血液を心臓から送り出すことができなくなり、肺に血液が貯留して、種々の症状を示す疾患である。
c 不整脈の症状が現れたときには、直ちに原因と考えられる医薬品の使用を中止し、速やかに医師の診療を受ける必要がある。
d 不整脈は、代謝機能の低下によって発症リスクが高まることがあるので、腎機能や肝機能の低下、併用薬との相互作用等に留意するべきである。

a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 誤 誤 正 正
5 正 正 誤 正

【正解4】
a×記述は、「不整脈」の内容である。
b×記述は、「うっ血性心不全」の内容である。
c○
d○

問 40
泌尿器系に現れる副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。

a 腎障害では、ほとんど尿が出ない、尿が濁る・赤みを帯びる等の症状が現れる。
b 尿勢の低下等の兆候に留意することは、排尿困難の初期段階での適切な対応につながる。
c 医薬品による排尿困難や尿閉は、前立腺肥大等の基礎疾患がある人にのみ現れる。
d 膀胱炎様症状では、尿の回数増加(頻尿)、排尿時の疼痛、残尿感等の症状が現れる。

a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 誤 誤 正 正
5 正 正 誤 正

【正解5】
a○
b○
c×医薬品による排尿困難や尿閉は、前立腺肥大等の基礎疾患が「ない人でも」現れる。
d○
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