「第3章:主な医薬品とその作用」の11回目です!
※この記事は「平成30年3月 試験問題の作成に関する手引き」をもとに作成しています。
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Ⅹ 皮膚に用いる薬
外皮用薬
- 外皮用薬は、皮膚表面に生じた創傷や症状、または皮膚の下にある毛根、血管、筋組織、関節などの症状を改善・緩和のため、外用局所に直接適用される医薬品です。
- 外皮用薬を使用する際には、患部を清浄にしたり、入浴後に表皮の角質層を柔らかくしてから使用するのが効果的とされています。
剤形による取扱い上の注意
- 塗り薬(軟膏剤、クリーム剤)
容器内への雑菌混入防止のため、必要量を手の甲などに取ってから患部に塗布することが望ましいとされています。
手に付着した薬剤は、目や口などの粘膜に触れて刺激感などを乗じるおそれがあるため洗い流しましょう
- 貼付剤(テープ剤、パップ剤)
汗や汚れが付着した状態で貼付すると、有効成分の浸透性低下や、剥がれやすくなり十分な効果が得られません。
同じ部位に連続して貼付すると、かぶれなどを生じやすくなります
- スプレー剤、エアゾール剤
強い刺激を防ぐため、目の周囲や粘膜への使用は避けることとされています。
それ以外の部位でも凍傷を避けるため、患部から十分離して噴霧し、連続して噴霧する時間は3秒以内とすることが望ましいです。
使用時に振とうが必要な製品では、容器を振ってから噴霧してください
外皮用薬に共通する副作用
- 局所性の副作用として、適用部位に発疹・発赤、痒みなどが現れることがあります。
- 外皮用薬を一定期間使用しても症状の改善がみられない場合は、専門家に相談がなされることが重要です。
1)きず口等の殺菌消毒成分
- 殺菌消毒薬は、比較的小さなきり傷、擦り傷、掻き傷などの創傷面の化膿防止や、手指・皮膚の消毒を目的として使用されます。
- 火傷や化膿した創傷面の消毒、口腔内の殺菌・消毒などを併せて目的とする製品については、医薬品としてのみ認められています。
アクリノール
- 黄色の色素で、一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿菌)に殺菌消毒作用を示します。
- 真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がありません。
- 比較的刺激性が低く、創傷患部にしみにくいですが、衣類等に付着すると黄色く着色し、脱色しにくくなります。
オキシドール(過酸化水素水)
- 一般細菌類の一部である、連鎖球菌、黄色ブドウ球菌に殺菌消毒作用を示します。
- 真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がありません。
- オキシドールの作用は、過酸化水素の分解に伴って発生する活性酸素による酸化、酸素の泡立ちによる洗浄効果であり、作用持続性は乏しく、組織への浸透性も低いとされています。
- 刺激性があるため、目の周りへの使用は避ける必要があります。
ヨウ素系殺菌消毒成分
- ヨウ素の酸化作用により、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して殺菌消毒作用を示します。
- ヨウ素の殺菌力はアルカリ性になると低下するため、石鹸を使用する場合はよく洗い落としてから使用するべきです。
- 外用薬として用いた場合でも、まれにショックのような全身性の重篤な副作用を生じることがあります。
- ヨウ素に対しアレルギーがある人では、使用を避ける必要があります。
ポビドンヨード
ヨウ素をポリビニルピロリドン(PVP)と呼ばれる担体に結合させて水溶性とし、徐々にヨウ素が遊離して殺菌作用を示すよう工夫されたものです。
含嗽用よりも高濃度なため、誤って原液を口腔粘膜に適用しないよう注意が必要です。
ヨードチンキ
ヨウ素及びヨウ化カリウムをエタノールに溶解させたものです。
皮膚刺激性が強く、粘膜や目の周りへの使用は避ける必要があります。
化膿している部位では、症状を悪化させるおそれがあります。
マーキュロクロム液と混ざると不溶性沈殿を生じて殺菌作用が低下するため、同時に使用しないこととされています。
陽性界面活性成分
- ベンザルコニウム塩化物
- ベンゼトニウム塩化物
- セチルピリジニウム塩化物
いずれも陽性界面活性成分で、細菌による二次感染を防止することを目的としています。
黄色ブドウ球菌、溶結連鎖球菌、真菌に効果がありますが、結核菌やウイルスには効果がありません。
石鹸との混合で殺菌消毒効果が低下するので、石鹸使用後は石鹸を十分に洗い流す必要があります。
クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩
- 一般細菌類、真菌類に対して広い殺菌消毒作用を示します。
- 結核菌やウイルスに対する効果はありません。
マーキュロクロム
- 一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌)に対する殺菌消毒作用を示します。
- 真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がありません。
- 有機水銀の一種ですが、皮膚浸透性が低く、通常の使用において水銀中毒を生じることはありません。
- ただし、口の周りや口が触れる部位への使用は避ける必要があります。
エタノール(消毒用エタノール)
- 手指・皮膚の消毒、器具類の消毒のほか、創傷面の殺菌・消毒にも用いられることがあります。
- 皮膚刺激性が強いため、患部表面を軽く拭く程度に留め、脱脂綿やガーゼに浸して患部に貼付することは避けるべきです。
- また、粘膜や目の周りへの使用は避ける必要があります。
その他
- イソプロピルメチルフェノール
- チモール
- フェノール(液状フェノール)
- レゾルシン
細菌や真菌類のタンパク質を変性させ、殺菌消毒作用を示し、患部の化膿を防ぐことを目的として用いられます。
レゾルシンについては、角質層を軟化させる作用もあり、にきび用薬やみずむし用薬などに配合されている場合があります。
一般的な創傷への対応
出血している場合
創傷部に清潔なハンカチ等を当てて圧迫し、止血します。
創傷部を心臓より高くして圧迫すると、止血効果が上がります。
火傷(熱傷)の場合
できるだけ早く、水道水などで熱傷部を冷やすことが重要です。
軽度の熱傷であれば、痛みを感じなくなるまで冷やすことで、症状の悪化を防ぐことができます。
その後水膨れを破らないようガーゼなどで軽く覆うとよいとされています。
創傷面が汚れている場合
水道水などきれいな水でよく洗い流し、汚れた手で直接触れないようにします。
汚れが残ったまま、創傷表面を乾燥させるタイプの医薬品を使用すると、内部で雑菌が増殖して化膿することがあります。
創傷部への殺菌消毒薬を繰り返し適用
創傷部に殺菌消毒薬を繰り返し適用すると、皮膚常在菌が殺菌されてしまい、また、殺菌消毒成分により組織修復が妨げられ、治癒しにくくなることがあります。
受診勧奨
- 出血が著しい場合、患部が広範囲な場合、ひどい火傷の場合には、状態が悪化するおそれがあります。
特に低温火傷は、表面上は軽症に見えても、組織の損傷が深部に達している場合があり、医師の診療などの対応が必要です。 - 殺菌消毒成分はすべての細菌やウイルスに対して効果があるわけではありません。
5~6日経過して症状が悪化している場合は受診するなどの対応が必要です。
2)痒み、腫れ、痛みを抑える配合成分
ステロイド性抗炎症成分
副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)の持つ抗炎症作用に着目し、それと共通する化学構造を持つ化合物が人工的に合成され、抗炎症成分(ステロイド性抗炎症成分)として用いられます。
主なステロイド性抗炎症成分は
- デキサメタゾン
- プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
- プレドニゾロン酢酸エステル
- ヒドロコルチゾン
- ヒドロコルチゾン酪酸エステル
- ヒドロコルチゾン酢酸エステル
などがあります。
外用の場合、末梢組織における炎症を抑え、特に、痒みや発赤などの皮膚症状を抑えます
副作用と留意事項
末梢組織の免疫機能を低下させる作用がある。
細菌、真菌、ウイルスなどによる皮膚感染や持続的な刺激感が現れることがある。
水痘、みずむし、たむし等または化膿している患部については使用を避ける必要がある。
一時的な皮膚症状(ほてり・腫れ・痒みなど)の緩和が目的であり、広範囲に生じた皮膚症状や慢性的な皮膚症状は対象ではない。
ステロイド性抗炎症成分をコルチゾンに換算して1g又は1mL 中 0.025mg を超えて含有する製品では、長期連用を避ける必要がある。
非ステロイド性抗炎症成分(NSAIDs)
ステロイドと共通する化学構造を持たず、プロスタグランジンの産生を抑える作用(抗炎症作用)を示す成分を非ステロイド性抗炎症成分(NSAIDs)といいます。
皮膚の炎症によるほてりや痒みなどを緩和する成分
- ブフェキサマク
湿疹、皮膚炎、かぶれ、日焼け、あせもなどによる皮膚症状を緩和します。
まれに重篤な副作用として接触皮膚炎や、その他、腫れ、刺激感、光線過敏症などが現れる場合があります。
ブフェキサマクは重篤な接触性アレルギー反応のリスクが高く、販売は終了しています
- ウフェナマート
末梢組織におけるプロスタグランジンの産生を抑える作用については必ずしも明らかにされておらず、炎症を生じた組織に働いて、細胞膜の安定化、活性酸素の生成抑制などの作用により、抗炎症作用を示します。
副作用として、刺激感(ヒリヒリ感)、熱感、乾燥感が現れることがあります。
鎮痛等を目的として用いられる成分
非ステロイド性抗炎症成分のうち
- インドメタシン
- ケトプロフェン
- フェルビナク
- ピロキシカム
- ジクロフェナクナトリウム
は、骨格筋や関節部まで浸透してプロスタグランジンの産生を抑える作用を示します。
筋肉痛、関節痛、肩こりに伴う肩の痛み、腰痛、腱鞘炎、肘の痛み、打撲、捻挫に用いられます
副作用と留意事項
過度に使用しても鎮痛効果が増すことはない。
安全性が確認されていないため、塗り薬・エアゾール剤については1週間あたり 50g(または 50mL)を超えての使用、貼付剤については連続して2週間以上の使用は避ける。
化膿している患部への使用は避ける。
内服の解熱鎮痛成分と同様、喘息を起こしたことがある人は使用を避ける。
妊娠中の女性では、胎児への影響を考慮して使用を避ける。
インドメタシンの外皮用薬では、11歳未満の小児(インドメタシン含量1%の貼付剤では15歳未満の小児)向けの商品はない。
その他の成分を主薬とする外用鎮痛薬では、15歳未満の小児向けの製品はない。
インドメタシンの特徴
適用部位の皮膚に、腫れ、ヒリヒリ感、熱感、乾燥感が現れることがあります。
ケトプロフェンの特徴
チアプロフェン酸、スプロフェン、フェノフィブラート、オキシベンゾン、オクトクリレンのような物質でアレルギー感作された人は、アレルギーを起こすおそれが大きいです。
まれに重篤な副作用として、アナフィラキシー、接触皮膚炎、光線過敏症を生じることがあります。
使用中、使用後しばらく経過して光線過敏症が現れることがあるため、紫外線に当たるのを避ける必要があります。
ラップフィルム等の通気性の悪いもので塗布部を覆うことは適当ではなく、衣服やサポーターなどで覆い、紫外線に当たるのを避ける必要があります。
ピロキシカムの特徴
光線過敏症の副作用を生じることがあり、かぶれ、水疱、落屑などが現れることがあります。
その他
サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール
皮膚から吸収された後、サリチル酸に分解されて、末梢組織におけるプロスタグランジンの産生を抑える作用も期待されます。
主として患部の血行促進と末梢の知覚神経に軽い麻痺を起こすことにより鎮痛作用をもたらすと考えられています。
イブプロフェンピコノール
イブプロフェンの誘導体ですが、外用での鎮痛作用はほとんど期待されません。
皮膚の発赤や腫れを抑えるほか、吹き出物の拡張を抑える作用があるとされ、もっぱらにきび治療薬として用いられます。
その他の抗炎症成分
比較的穏やかな抗炎症作用を示す成分として
- グリチルレチン酸
- グリチルリチン酸二カリウム
- グリチルリチン酸モノアンモニウム
などが配合されている場合があります。
局所麻酔成分
創傷面の痛みや、皮膚の痒みを和らげることを目的として
- ジブカイン塩酸塩
- リドカイン
- アミノ安息香酸エチル
- テシットデシチン
などが配合されている場合があります。
そのほか、皮下の知覚神経に麻痺を起こす成分として、アンモニアが主に虫さされによる痒みに用いられますが、皮膚刺激性が強いため粘膜や目の周りへの使用は避ける必要があります
抗ヒスタミン成分
一時的かつ部分的な皮膚症状の緩和を目的として
- ジフェンヒドラミン
- ジフェンヒドラミン塩酸塩
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- ジフェニルイミダゾール
- イソチペンジル塩酸塩
等の抗ヒスタミン成分が用いられます。
いずれも副作用として、患部の腫れが現れることがあります
局所刺激成分
冷感刺激成分
皮膚表面に冷感刺激を与え、軽い炎症による血行促進や、知覚神経の麻痺による鎮痛・鎮痒効果を期待して
- メントール
- カンフル
- ハッカ油
- ユーカリ油
が配合されています。
打撲や捻挫などの急性の腫れや熱感を伴う症状に適します
温感刺激成分
皮膚に温感刺激を与え、末梢血管を拡張させ血行を促す効果を期待して
- カプサイシン
- ノニル酸ワニリルアミド
- ニコチン酸ベンジルエステル
などが配合されている場合があります。
カプサイシンを含む生薬成分として、トウガラシも同様に用いられます。
温感刺激成分は強い刺激により痛みが現れることがあります。
特に、温感刺激成分を主薬とする貼付剤では貼付部位を温めると強い痛みが生じやすくなるほか、低温やけどの可能性があるので注意が必要です。
入浴1時間前には剥がし、入浴後は皮膚のほてりが鎮まってから貼付するべきです
収斂・皮膚保護成分
- 酸化亜鉛
患部のタンパク質と結合して皮膜を形成し、皮膚を保護する作用を示します。 - ピロキシリン(ニトロセルロース)
創傷面に薄い皮膜を形成して保護する目的で用いられることもあります
いずれも浸潤、化膿、傷が深い場合には、表面だけを乾燥させて症状が悪化するおそれがあり、使用を避けることとされています
組織修復成分
- アラントイン
- ビタミンA油
損傷皮膚の組織修復を促す作用を期待して配合されます。
血管収縮成分
- ナファゾリン塩酸塩
(アドレナリン作動成分)
きり傷、擦り傷、掻き傷などの創傷面からの出血を抑える目的で配合されます。
創傷面に浸透して、その部位を通っている血管を収縮させることによる止血効果を期待して用いられます。
血行促進成分
患部局所の血行を促す目的で
- ヘパリン類似物質
- ポリエチレンスルホン酸ナトリウム
- ニコチン酸ベンジルエステル
- ビタミンE(トコフェロールなど)
等が用いられます。
ヘパリン類似物質、ポリエチレンスルホン酸ナトリウムには、血液凝固を抑える働きがあるため、出血しやすい人、出血が止まりにくい人、出血性血液疾患の診断を受けた人では使用を避ける必要があります。
漢方処方製剤等
紫雲膏しうんこう
ひび、あかぎれ、しもやけ、うおのめ、あせも、ただれ、外傷、火傷、痔核による疼痛、肛門裂傷、湿疹・皮膚炎に適す。
傷口が、浸潤・化膿・重度の火傷の場合、患部が広範囲の場合には不向きとされる。
中黄膏ちゅうおうこう
急性化膿性皮膚疾患(腫れ物)の初期、打ち身、捻挫に適す。
傷口が、浸潤・化膿・重度の火傷の場合、患部が広範囲の場合には不向きとされる。
その他
抗炎症、血行促進作用を期待して
- アルニカ
キク科のアルニカを基原とする生薬 - サンシシ
アカネ科のクチナシの果実を基原とする生薬 - オウバク
- セイヨウトチノミ
などの生薬成分が配合されている場合があります。
日本薬局方収載のオウバク末は、健胃、止瀉作用を期待して内服で用いられるが、外用では水で練って患部に貼り、打ち身、捻挫に用いられることがあります
一般的な打撲、捻挫などへの対応
一般的な打撲、捻挫などへの対応は、まず患部を安静に保つことが重要です。
次に、氷嚢などで患部を冷やすます。
冷やすことで、内出血を最小限にし、痛みの緩和が図られます。
また、患部が腫れてくるのを抑えるため、サポーター等で軽く圧迫し、心臓よりも高くしておくと効果的とされています
一般的な湿疹 、皮膚炎等への対応
湿疹 、皮膚炎等への対応は、皮膚を清浄に保つことが重要ですが、こすり過ぎや洗浄力の強い石鹸等は避けることが望ましいとされています。
また、紫外線やストレス、発汗を避けるなどの皮膚への刺激を避けることが重要とされています。
受診勧奨
一般用医薬品の使用による対処は、痒みや痛み等の症状を一時的に抑える対症療法です。
慢性の湿疹や皮膚炎、または皮膚症状が広範囲にわたって生じているような場合には、医療機関を受診するなどの対応が必要です。
アトピー性皮膚炎は、専門的な治療を要するため医療機関への受診を促すことが重要となります
3)肌の角質化、かさつき等を改善する配合成分
- うおのめ、たこは
皮膚の一部に物理的刺激や圧迫が繰り返し加わったことにより角質層が部分的に熱くなったもの。 - うおのめ
真皮に食い込み痛みを感じる。 - たこ
角質層が単純に肥厚したもので痛みはない。 - いぼ
表皮が隆起した小型の良性の腫瘍で、ウイルス性と老人性に大別される。
配合成分やその濃度等があらかじめ定められた範囲内である製品は(うおのめ・たこ)は医薬部外品として販売
イボに用いる製品は、医薬品としてのみ認められています。
角質軟化成分とその作用等
サリチル酸
角質成分を溶解することにより角質軟化作用を示す。
頭皮のフケを抑える効果を期待して毛髪用薬に配合されている場合もある。
イオウ
皮膚の角質層を構成するケラチンを変質させることにより、角質軟化作用を示す。
保湿成分
- 皮膚の乾燥
角質層の水分保持量が低下することによって生じます。
角質層の水分保持量を高め皮膚の乾燥改善することを目的として
- グリセリン
- 尿素
- 白色ワセリン
- オリブ油
- ヘパリン類似物質
などが用いられます。
4)抗菌作用を有する配合成分
にきび、吹き出物等の要因
にきび、吹き出物は、最も一般的に生じる化膿性皮膚疾患(細菌が感染して化膿する皮膚疾患)です
発生要因は
- ストレス、食生活の乱れ、睡眠不足などにより肌の新陳代謝機能が低下し、毛穴の皮脂や古い角質が溜まる。
- 老廃物がつまった毛穴の中で皮膚常在菌であるにきび桿菌(アクネ菌)が繁殖する。
- にきび桿菌が皮脂を分解して生じる遊離脂肪酸によって毛包周囲に炎症を生じ、さらにほかの細菌の感染を誘発して膿疱や膿腫ができる。
基礎的なケア
- 洗顔などによるケア
洗顔などにより皮膚を清浄に保つことが基本とされます。 - 規則正しい生活習慣
ストレスを取り除き、規則正しい生活習慣を心がけることが大切です。
油分の多い化粧品はにきびを悪化させることがあるので、水性成分主体のものを選びましょう
皮膚疾患の病原菌
- 毛嚢炎
にきび桿菌でなく、黄色ブドウ球菌などの化膿菌が毛穴から侵入し、皮脂腺、汗腺で増殖して生じた吹き出物を毛嚢炎といい、にきびに比べて痛みや腫れが強くでます。 - とびひ
毛穴を介さず、虫刺されやあせも。掻き傷などから化膿菌が侵入したもの。
水疱やただれを生じます。
代表的な抗菌成分
サルファ剤
スルファジアジン
ホモスルファミン
スルフイソキサゾール
などのサルファ剤は、細菌のDNA合成を阻害することで抗菌作用を示します。
バシトラシン
細菌の細胞壁合成を阻害することにより抗菌作用を示します。
硫酸フラジオマイシン、クロラムフェニコール
細菌のタンパク質合成を阻害することにより抗菌作用を示します。
主な副作用、受診勧奨
- 患部が広範囲で、湿潤やただれがひどい場合には、医療機関を受診するなどの対応が必要です。
- 通常は、元々備わっている免疫機能の働きによって、化膿菌は自然に排除されます。
5~6日間使用して症状の改善がみられない場合には、使用を中止して医師の診療を受けるなどの対応が必要です
5)抗真菌作用を有する配合成分
みずむし・たむし等の要因
みずむし、たむしなどは、皮膚糸状菌という真菌類の一種の寄生によって起こる疾患(表在性真菌感染症)です。
スリッパやタオルなどを介してほかの保菌者やペットから感染することが多く、発生する部位によって呼び名が変わります
みずむし等に対する基礎的なケア
みずむし
ほとんど足に生じるが、まれに手に生じることもあります。
- 趾間型
- 小水疱型
- 角質増殖型
の3つに分類されます。
ぜにたむし
輪状の小さな丸い病巣が胴や四肢に発生し、発赤と鱗屑りんせつ、痒みを伴います。
いんきんたむし
ぜにたむしと同様の病巣が内股にでき、尻や陰嚢付近に広がっていくもの。
その他の病変
頭部白癬(しらくも)
小児に多く、清浄に保てば自然治癒することが多いです。
炎症が著しい場合には医師の診療を受けるなどの対応が必要です。
爪白癬
爪内部に薬剤が浸透しにくいため難治性で、医療機関における全身的な治療を必要とする場合が少なくい。
清潔に保ち、通気性を良くしておくことが重要です
剤形の選択
- 軟膏又はクリーム剤
じゅくじゅくと湿潤している患部に適します。 - 液剤
有効成分の浸透性が高く、患部への刺激が強いため、厚く角質化している部分に適します。
湿疹とみずむしなどの初期症状は類似していることが多く、湿疹に抗真菌作用を有する成分を使用すると、湿疹の悪化を招くことがあります
代表的な抗真菌成分、主な副作用
膣、陰嚢、外陰部や、湿疹、湿潤、ただれ、亀裂や外傷のひどい患部、化膿している患部には使用を避ける必要があります
① イミダゾール系抗真菌成分
皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げたり、細胞膜の透過性を変化させることにより、増殖を抑えます。
オキシコナゾール硝酸塩
ネチコナゾール塩酸塩
ビホナゾール
スルコナゾール硝酸塩
エコナゾール硝酸塩
クロトリマゾール
ミコナゾール硝酸塩
チオコナゾール
副作用としてかぶれ、腫れ、刺激感等が現れることがあります。
「イミダゾール系=〇〇ゾール」と覚えましょう
② アモロルフィン塩酸塩、ブテナフィン塩酸塩、テルビナフィン塩酸塩
皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げ、増殖を抑えます。
③ シクロピロクスオラミン
皮膚糸状菌の細胞膜に作用して、増殖・生存に必要な物質の輸送機能を妨げ、増殖を抑えます。
④ ウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛
患部を酸性にすることで、皮膚糸状菌の発育を抑えます。
⑤ ピロールニトリン
菌の呼吸や代謝を妨げることにより、皮膚糸状菌の増殖を抑えます。
単独での抗真菌作用は弱いため、ほかの抗真菌成分と組み合わせて配合されます。
⑥ その他
トルナフタート
エキサラミド
モクキンピ(生薬)
いずれも皮膚糸状菌の増殖を抑えます。
受診勧奨
ぜにたむしやいんきんたむしで患部が広範囲に及ぶ場合は、内服抗真菌薬による全身的な治療が必要な場合もあるので、医療機関の受診が必要です。
基礎的なケアとあわせて2週間位しようしても症状がよくならない場合には、抗真菌成分に耐性を生じている可能性もあります。
症状が改善しない場合には、いったん使用を中止して医療機関を受診するなどの対応が必要です
6)頭皮・毛根に作用する配合成分
毛髪用薬の概要
- 毛髪用薬は、脱毛の防止、育毛、ふけや痒みを抑えることを目的として、頭皮に適用する医薬品です。ここにテキストを入力
- 毛髪用薬のうち、配合成分やその分量で人体に対する作用が緩和なものについては医薬部外品(育毛剤、養毛剤)として製造販売されています。ここにテキストを入力
「壮年性脱毛症」などの疾患名を掲げた効能・効果は、医薬品においてのみ認められています
毛髪用薬の成分
カルプロニウム塩化物
末梢組織においてアセチルコリンに類似した作用(コリン作用)を示します。
頭皮の血管を拡張、血行促進による発毛効果を期待して用いられます。
アセチルコリンと異なりコリンエステラーゼによる分解を受けにくく、作用が持続しますが、副作用としてコリン作用による局所又は全身性の発汗、寒気、震え、吐きけが現れることがあります。
エストラジオール安息香酸エステル
女性ホルモンによる脱毛抑制効果を期待して配合されます。
頭皮からの吸収され循環血液中に入る可能性を考慮し、妊娠中の女性では使用を避けるべきとされています。
生薬成分
① カシュウ
タデ科のツルドクダミの塊根を基原とする生薬で、頭皮における脂質代謝を高めて、余分な皮脂を取り除く作用がある。
② チクセツニンジン
ウコギ科のトチバニンジンの根茎を、通例、湯通ししたものを基原とする生薬で、血行促進、抗炎症などの作用がある。
③ ヒノキチオール
ヒノキ科のタイワンヒノキ、ヒバ等から得られた精油成分で、抗菌、血行促進、抗炎症などの作用がある。
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