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【平成29年・首都圏】登録販売者過去問解説【人体の働きと医薬品】

過去問題・解説

問 11
医薬品が働く仕組みに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 局所作用は、医薬品の適用部位が作用部位である場合が多いため、反応は全身作用と比較して速やかに現れる。
b 内服薬は、全身作用を示すものが多いが、膨潤性下剤のように、有効成分が消化管内で作用するものもあり、その場合に現れる作用は局所作用である。
c 外用薬は、適用部位に対する局所的な効果を目的としたもので、全身作用を目的としたものはない。
d 口腔粘膜から吸収された医薬品の成分は、初めに肝臓で代謝を受けてから全身に分布する。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d)
4(b、d) 5(c、d)

【正解1】
c× 外用薬でも坐剤や経皮吸収製剤では、適用部位から吸収された有効成分が、循環血液中に移行して、全身作用を目的としているものもある。
d× 口腔粘膜から吸収された医薬品の成分は、肝臓で代謝を受けることなく全身に分布する。

問 12
医薬品の有効成分の吸収に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 有効成分が皮膚から浸透して体内の組織で作用する医薬品の場合は、浸透する量は皮膚の状態、傷の有無やその程度などによって影響を受ける。
b 一般に、消化管からの吸収は、消化管が積極的に医薬品成分を取り込む現象である。
c 錠剤、カプセル剤等の固形剤の場合、錠剤等が消化管内で崩壊して、有効成分が溶け出さなければならず、小腸で有効成分が溶出するものが大部分である。
d 内服薬の中には、服用後の作用を持続させるため、有効成分がゆっくりと溶出するように作られているものもある。

…a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 正 誤 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 正 正 誤
5 正 誤 誤 正

【正解5】
b× 消化管が積極的に取り込むのではなく、濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散する現象。
c× 小腸ではなく、で有効成分が溶出するものが大部分である。

問 13
 医薬品の代謝及び排泄に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品の有効成分が代謝を受けると、作用を失ったり(不活性化)、作用が現れたり(代謝的活性化)、あるいは体外へ排泄されやすい脂溶性の物質に変化する。
b 排泄とは、代謝によって生じた物質(代謝物)が尿等で体外へ排出されることであり、医薬品の有効成分は未変化体のままで、あるいは代謝物として、腎臓から尿中へ、肝臓から胆汁中へ、又は肺から呼気中へ排出される。
c 肝機能が低下した人では、医薬品を代謝する能力が低いため、正常な人に比べて全身循環に到達する有効成分の量がより多くなり、効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする。
d 医薬品の有効成分と血漿タンパク質との複合体は、腎臓で濾過されないため、有効成分が長く循環血液中に留まることになり、作用が持続する原因となる。

…a b c d
1 正 誤 誤 誤
2 誤 正 正 正
3 誤 誤 誤 正
4 誤 正 正 誤
5 正 誤 正 正

【正解2】
a× 医薬品の有効成分が代謝を受けると、作用を失ったり(不活性化)、作用が現れたり(代謝的活性化)、あるいは体外へ排泄されやすい水溶性の物質に変化する。

問 14
医薬品の体内での働きに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 循環血液中に移行した有効成分は、血流によって全身の組織・器官へ運ばれて作用するが、多くの場合、標的となる細胞に存在する受容体、酵素、トランスポーターなどのタンパク質と結合し、その機能を変化させることで薬効や副作用を現す。
b 医薬品が摂取され、その有効成分が循環血液中に移行すれば、その血中濃度に関わらず生体の反応としての薬効が現れる。
c 一度に大量の医薬品を摂取したり、十分な間隔をあけずに追加摂取したりして血中濃度を高くしても、ある濃度以上になるとより強い薬効は得られなくなる。
d 有効成分の血中濃度は、ある時点でピーク(最高血中濃度)に達し、その後は低下していくが、これは代謝・排泄の速度が吸収・分布の速度を上回るためである。

….a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 正 誤 正 正
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 誤 正

【正解3】
b× 血中濃度が最小有効濃度を下回ると、薬効は消失する。

一度に大量の医薬品を摂取しても、薬効は頭打ちとなりますが、副作用や毒性は現れやすくなります!

問 15
医薬品の剤形及び適切な使用方法に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 有効成分を消化管から吸収させ、全身に分布させることにより薬効をもたらすための剤形としては、錠剤(内服)、カプセル剤、散剤・顆粒剤、経口液剤・シロップ剤等がある。
b 有効成分を患部局所に直接適用する剤形としては、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤、貼付剤、スプレー剤等がある。
c 口腔内崩壊錠は、薬効を期待する部位が口の中や喉である場合が多く、飲み込まずに口の中で舐めて徐々に溶かして使用する。
d 外用局所に適用する剤形のうち、軟膏剤とクリーム剤は、有効成分が適用部位に留まりやすいという特徴があり、一般的には、患部が乾燥していたり患部を水で洗い流したい場合等には軟膏剤を用いることが多い。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c)
4(b、d) 5(c、d)

【正解1】
c× トローチ・ドロップは、薬効を期待する部位が口の中や喉である場合が多く、飲み込まずに口の中で舐めて徐々に溶かして使用する。
d× 軟膏剤とクリーム剤は、有効成分が適用部位に留まりやすいという特徴があり、患部が乾燥していたり患部を水で洗い流したい場合等には、クリーム剤を用いることが多い。

口腔内崩壊錠は、口の中の唾液で速やかに溶ける工夫がなされていて、水なしで飲むことができます。そして適用部位を水から遮断したい場合には軟膏剤、患部を水で洗い流したい場合にはクリーム剤を使用。これも覚えておきましょう。

問 16
ショック(アナフィラキシー)に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品によるショックは、以前にその医薬品によって蕁麻疹等のアレルギーを起こしたことがある人では起きる可能性が低い。
b 発症後の進行が非常に速やかな(通常、2時間以内に急変する。)ことが特徴である。
c 一般に、顔や上半身の紅潮・熱感、皮膚の痒み、むくみ(浮腫)、吐きけ、顔面蒼白等の複数の症状が現れる。

…a b c
1 正 正 誤
2 誤 正 誤
3 正 誤 正
4 誤 誤 正
5 誤 正 正

【正解5】
a× 医薬品の場合、以前にその医薬品によって蕁麻疹等のアレルギーを起こしたことがある人で起きる可能性が高い。

問 17
皮膚粘膜眼症候群及び中毒性表皮壊死融解症に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 皮膚粘膜眼症候群は、38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態である。
b 中毒性表皮壊死融解症は、最初に報告した二人の医師の名前にちなんでスティーブンス・ジョンソン症候群とも呼ばれており、その発生頻度は人口100万人当たり年間1~6人と報告されている。
c 皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症は、いずれも発症機序の詳細が明確にされており、発症を予測することが可能となっている。
d 皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症は、いずれも原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってから起こることもある。

….a  b c d
1 誤 正 誤 誤
2 誤 誤 正 正
3 正 誤 誤 正
4 正 正 誤 誤
5 誤 誤 正 誤

【正解3】
b× 皮膚粘膜眼症候群は、最初に報告した二人の医師の名前にちなんでスティーブンス・ジョンソン症候群とも呼ばれており、その発生頻度は人口100万人当たり年間1~6人と報告されている。
c× いずれも発症機序の詳細は不明であり、発症の予測は困難である。

問 18
医薬品の副作用として生じる偽アルドステロン症に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 医薬品の長期服用後に初めて発症することはあるが、医薬品と食品との相互作用により起きることはない。
b 小柄な人や高齢者で生じやすい。
c 副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加することにより生じる。
d 手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、喉の渇き等が主な症状となる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d)
4(b、d) 5(c、d)

【正解4】
a× 医薬品と食品との相互作用により起きることがある。
c× 副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないにも関わらず、生じることから「偽アルドステロン症」という。

「〇〇ではない」など言い切っていたら、答えは×の場合がほとんどです

問 19
 医薬品の副作用として生じる精神神経障害及び無菌性髄膜炎に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 精神神経障害では、中枢神経系が影響を受け、物事に集中できない、不眠、不安、震え、興奮、うつ等の精神神経症状を生じることがある。
b 無菌性髄膜炎は、早期に原因医薬品の使用を中止すれば、速やかに回復し、予後は比較的良好であることがほとんどであり、重篤な後遺症が残った例はない。
c 無菌性髄膜炎は、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、関節リウマチ等の基礎疾患がある人で発症リスクが高い。

…a b c
1 誤 誤 誤
2 正 誤 正
3 誤 正 誤
4 正 誤 誤
5 正 正 正

【正解2】
b× 無菌性髄膜炎は、予後は比較的良好であることがほとんどであるが、重篤な中枢神経系の後遺症が残った例も報告されている。

問 20
医薬品の副作用として生じる間質性肺炎及び喘息に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 間質性肺炎は、症状が一過性に現れ、自然と回復することもあるが、悪化すると肺線維症(肺が線維化を起こして硬くなる状態)に移行することがある。
b 間質性肺炎は、医薬品の使用開始から1~2週間程度で起きることが多く、必ずしも発熱は伴わない。
c 喘息は、原因となる医薬品の使用後、短時間(1時間以内)のうちに鼻水・鼻づまりが現れ、続いて咳、喘鳴及び呼吸困難を生じる。
d 喘息は、合併症の有無にかかわらず、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失しても症状は寛解しない。

…a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 誤 誤 誤
5 誤 誤 正 正

【正解1】
d× 喘息は、合併症を起こさない限り、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失すれば症状は寛解する。
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