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【令和2年度・北海九州沖縄④】登録販売者過去問解説【主な医薬品とその作用】

過去問題・解説

問 11
鎮咳去痰薬に配合される生薬成分に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 ゴミシは、マツブサ科のチョウセンゴミシの果実を基原とする生薬で、鎮咳作用を期待して用いられる。
2 オウヒは、バラ科のヤマザクラ又はその他近縁植物の、通例、周皮を除いた樹皮を基原とする生薬で、去痰作用を期待して用いられる。
3 キキョウは、ユリ科のジャノヒゲの根の膨大部を基原とする生薬で、鎮咳、去痰、滋養強壮等の作用を期待して用いられる。
4 キョウニンは、バラ科のホンアンズ、アンズ等の種子を基原とする生薬で、体内で分解されて生じた代謝物の一部が延髄の呼吸中枢、咳嗽中枢を鎮静させる作用を示すとされる。

【正解3】
キキョウは、キキョウ科のキキョウの根を基原とする生薬で、痰又は痰を伴う咳に用いられる。
記述は、バクモンドウの内容。

問 12
口腔咽喉薬及びうがい薬(含嗽薬)とその配合される成分に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア ヨウ素は、レモン汁やお茶などに含まれるビタミンCと反応すると、殺菌作用が増強されるため、ヨウ素系殺菌消毒成分が配合された含嗽薬では、そうした食品を摂取した直後の使用が望ましい。
イ 噴射式の液剤は、口腔の奥まで届くように、息を吸いながら噴射することが望ましい。
ウ 含嗽薬の使用後すぐに食事を摂ると、殺菌消毒効果が薄れやすい。
エ アズレンスルホン酸ナトリウムは、炎症を生じた粘膜組織の修復を促す作用を示す。

ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 正 正

【正解5】
ア×ヨウ素は、レモン汁やお茶などに含まれるビタミンC等の成分と反応すると脱色を生じて殺菌作用が「失われる」ため、ヨウ素系殺菌消毒成分が配合された含嗽薬では、そうした食品を摂取した「直後の使用や混合は避けること」が望ましい。
イ×噴射式の液剤は、息を吸いながら噴射すると気管支や肺に入ってしまうおそれがあるため、「軽く息を吐いたり、声を出しながら」噴射することが望ましい。

問 13
胃に作用する薬の配合成分及びその主な作用との関係について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 酸化マグネシウム  - 中和反応によって胃酸の働きを弱める。
イ センブリ      - 消化管内容物中に発生した気泡の分離を促す。
ウ ピレンゼピン塩酸塩 - 炭水化物、脂質、タンパク質、繊維質の分解に働く酵素を補う。
エ アルジオキサ    - 胃粘液の分泌を促す、胃粘膜を覆って胃液による消化から保護する。

1 ア、イ
2 ア、エ
3 イ、ウ
4 ウ、エ

【正解2】
イ×センブリ ― 苦味による健胃作用。
消化管内容物中に発生した気泡の分離を促すのは、「ジメチルポリシロキサン(別名:ジメチコン)」
ウ×ピレンゼピン塩酸塩 ― 過剰な胃液の分泌を抑える。
炭水化物、脂質、タンパク質、繊維質等の分解に働く酵素を補うのは、「ジアスターゼ、プロザイム、ニューラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ又はその複合酵素等」

問 14
止瀉薬に配合される成分に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア タンニン酸アルブミンは、腸粘膜のタンパク質と結合して不溶性の膜を形成し、腸粘膜をひきしめる(収斂)ことにより、腸粘膜を保護することを目的として用いられる。
イ オウレンは、収斂作用のほか、抗菌作用、抗炎症作用も期待して用いられる。
ウ 次没食子酸ビスマスは、細菌感染による下痢の症状を鎮めることを目的として用いられる。
エ 木クレオソートは、有害な物質を吸着させることを目的として用いられる。

1 ア、イ
2 ア、エ
3 イ、ウ
4 ウ、エ

【正解1】
ウ×次没食子酸ビスマスは、腸粘膜のタンパク質と結合して不溶性の膜を形成し、腸粘膜をひきしめる(収斂)ことにより、腸粘膜を保護することを目的として用いられる。
細菌感染による下痢の症状を鎮めるのは、「ベルベリン塩化物、タンニン酸ベルベリン、アクリノール、木クレオソート等の腸内殺菌成分」
エ×木クレオソートは、細菌感染による下痢の症状を鎮めることを目的として用いられる。
有害な物質を吸着させるのは、「炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、天然ケイ酸アルミニウム、カオリン、薬用炭等」

問 15
瀉下薬に配合される成分に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア ビサコジルは、大腸のうち特に結腸や直腸の粘膜を刺激することで排便を促し、また、結腸での水分の吸収を抑えて、糞便のかさを増大させる働きがあるとされている。
イ ダイオウは、授乳中の女性が服用すると、吸収された成分の一部が乳汁中に移行し、乳児に下痢を生じさせるおそれがある。
ウ カルメロースナトリウムは、腸管内で水分を吸収して腸内容物に浸透し、糞便のかさを増やすとともに糞便を柔らかくすることを目的として用いられる。
エ センノシドは、小腸でリパーゼの働きによって生じる分解物が、小腸を刺激することで瀉下作用をもたらすと考えられている。

ア イ ウ エ
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

【正解1】
エ×センノシドは、大腸を刺激して排便を促す。
記述は、ヒマシ油の内容。

問 16
強心薬及びその配合成分に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア センソは、ヒキガエル科のシナヒキガエル等の毒腺の分泌物を集めたものを基原とする生薬で、有効域が比較的狭く、一般用医薬品では1日用量が5mg以下となるよう用法・用量が定められている。
イ 苓桂朮甘湯は、強心作用が期待される生薬は含まれず、主に尿量増加(利尿)作用により、水毒(漢方の考え方で、体の水分が停滞したり偏在して、その循環が悪いことを意味する。)の排出を促すことを主眼とする。
ウ ロクジョウは、シカ科のジャコウジカの雄の麝香腺分泌物を基原とする生薬で、強心作用のほか、呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高めたり、意識をはっきりさせる作用があるとされる。
エ リュウノウは、ウグイスガイ科のアコヤガイ、シンジュガイ又はクロチョウガイ等の外套膜組成中に病的に形成された顆粒状物質を基原とする生薬で、鎮静作用等を期待して用いられる。

ア イ ウ エ
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

【正解2】
ウ×ロクジョウは、シカ科のマンシュウアカジカ又はマンシュウジカの雄のまだ角化していない、もしくは、わずかに角化した幼角を基原とする生薬で、強心作用のほか、強壮、血行促進等の作用があるとされる。
記述は、ジャコウの内容。
エ×リュウノウは、中枢神経系の刺激作用による気つけの効果を期待して用いられる。
記述は、シンジュの内容。

問 17
小児の疳を適応症とする生薬製剤・漢方処方製剤(小児鎮静薬)に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 症状の原因となる体質の改善を主眼としているものが多く、鎮静作用のほか、血液の循環を抑制する作用があるとされている生薬成分を中心に配合されている。
イ 柴胡加竜骨牡蛎湯や抑肝散を小児の夜泣きに用いる場合、作用が比較的緩和なため、長期間(3ヶ月間位)服用して様子をみることが望ましい。
ウ 用法用量において適用年齢の下限が設けられていない漢方処方製剤は、生後1ヶ月の乳児に使用することができる。
エ カンゾウについては、小児の疳を適応症とする生薬製剤では主として健胃作用を期待して用いられる。

ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 誤 誤 誤
3 誤 正 誤 正
4 誤 誤 正 誤
5 誤 誤 誤 正

【正解5】
ア×鎮静作用のほか、血液の循環を「促す」作用があるとされる生薬成分を中心に配合されている。
イ×柴胡加竜骨牡蛎湯や抑肝散を小児の夜泣きに用いる場合、「1週間位服用しても症状の改善がみられないときには、いったん服用を中止して、専門家に相談する等、その漢方処方製剤の使用が適しているかどうか見直すなどの対応が必要である」。
ウ×用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合にあっても、「生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこと」となっている。

問 18
貧血用薬に配合される鉄以外の金属成分に関する以下の記述について、(  )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。なお、同じ記号の(  )内には同じ字句が入ります。

( ア )は、ヘモグロビンの産生過程で、鉄の代謝や輸送に重要な役割を持つ。補充した鉄分を利用してヘモグロビンが産生されるのを助ける目的で、硫酸( ア )が配合される場合がある。( イ )は、赤血球ができる過程で必要不可欠なビタミンB12の構成成分であり、骨髄での造血機能を高める目的で、硫酸( イ )が配合されている場合がある。( ウ )は、糖質・脂質・タンパク質の代謝をする際に働く酵素の構成物質であり、エネルギー合成を促進する目的で、硫酸( ウ )が配合されている場合がある。

1 ア:銅     イ:コバルト  ウ:マンガン
2 ア:銅     イ:マンガン  ウ:コバルト
3 ア:マンガン  イ:コバルト  ウ:銅
4 ア:コバルト  イ:マンガン  ウ:銅
5 ア:コバルト  イ:銅     ウ:マンガン

【正解1】
( ア:銅 )は、ヘモグロビンの産生過程で、鉄の代謝や輸送に重要な役割を持つ。補充した鉄分を利用してヘモグロビンが産生されるのを助ける目的で、硫酸( ア:銅 )が配合される場合がある。( イ:コバルト )は、赤血球ができる過程で必要不可欠なビタミンB12の構成成分であり、骨髄での造血機能を高める目的で、硫酸( イ:コバルト )が配合されている場合がある。( ウ:マンガン )は、糖質・脂質・タンパク質の代謝をする際に働く酵素の構成物質であり、エネルギー合成を促進する目的で、硫酸( ウ:マンガン )が配合されている場合がある。

問 19
痔及び痔疾用薬に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 痔核は、肛門内部に存在する肛門腺窩と呼ばれる小さなくぼみに糞便の滓が溜まって炎症・化膿が生じた状態をいう。
イ 裂肛は、肛門の出口からやや内側の上皮に傷が生じた状態をいう。
ウ カイカは、マメ科のエンジュの蕾を基原とする生薬で、主に止血効果を期待して用いられる。
エ カルバゾクロムは、毛細血管を補強、強化して出血を抑える働きがあるとされ、止血効果を期待して配合されている場合がある。

ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 正

【正解3】
ア×痔核は、肛門に存在する細かい血管群が部分的に拡張し、肛門内にいぼ状の腫れが生じたもの。記述は、痔瘻の内容。

問 20
外用痔疾用薬に配合される成分に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア アラントインは、組織修復成分であり、 痔による肛門部の創傷の治癒を促す目的で用いられる。
イ デカリニウム塩化物は、アドレナリン作動成分であり、血管収縮作用による止血効果を目的として用いられる。
ウ 酸化亜鉛は、粘膜表面に不溶性の膜を形成することによる、粘膜の保護・止血を目的として用いられる。
エ テトラヒドロゾリン塩酸塩は、痔に伴う痛み・痒みを和らげることを目的として用いられる。

ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 正 誤 誤 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 正 正

【正解2】
イ×デカリニウム塩化物は、痔疾患に伴う局所の感染を防止することを目的として用いられる殺菌消毒成分。
記述のアドレナリン作動成分は、テトラヒドロゾリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、エフェドリン塩酸塩、ナファゾリン塩酸塩等。
エ×テトラヒドロゾリン塩酸塩は、血管収縮作用による止血効果を目的として用いられるアドレナリン作動成分。
記述は、リドカイン、アミノ安息香酸エチル、ジブカイン塩酸塩、プロカイン塩酸塩等の局所麻酔成分の内容。

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