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【令和2年度・東北③】登録販売者過去問解説【人体の働きと医薬品】

令和2年東北・人体の働きと医薬品 過去問題・解説

問 71
医薬品の有効成分の吸収に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a  有効成分の吸収量や吸収速度は、消化管内容物や他の医薬品の作用によって影響を受ける。
b  循環血液中に移行せずに薬効を発揮する医薬品であっても、その成分が体内から消失する過程では、吸収されて循環血液中に移行する場合がある。
c  眼の粘膜に適用する点眼薬は、鼻涙管を通って鼻粘膜から吸収されることがある。
d  有効成分が皮膚から浸透して体内の組織で作用する医薬品の場合は、浸透する量は皮膚の状態による影響を受けない。

・a b c d
1 正 正 正 誤
2 誤 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 正 誤

【正解1】
d× 浸透する量は皮膚の状態、傷の有無やその程度などによって影響を受ける

加齢等により皮膚のみずみずしさが低下すると、有効成分が浸潤・拡散しにくくなります!

問 72
皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)と中毒性表皮壊死融解症(TEN)に関する以下の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  両疾患ともに、発生は非常にまれであるとはいえ、一旦発症すると多臓器障害の合併症等により致命的な転帰をたどることがある。
2  皮膚粘膜眼症候群は、発症の可能性がある医薬品の種類も多いため、発症の予測は極めて困難である。
3  皮膚粘膜眼症候群の症例の多くが中毒性表皮壊死融解症の進展型とみられている。
4  両眼に現れる急性結膜炎は、皮膚や粘膜の変化とほぼ同時期又は半日~1日程度先行して生じることが知られているので、そのような症状が現れたときは、皮膚粘膜眼症候群又は中毒性表皮壊死融解症の前兆である可能性を疑うことが重要である。

【正解3】
3× 「中毒性表皮壊死融解症」の症例の多くが「皮膚粘膜眼症候群」の進展型とみられる

問 73
消化器系に現れる医薬品の副作用に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a  消化性潰瘍では、必ず自覚症状があり、胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、吐き気、胃痛、空腹時にみぞおちが痛くなる、消化管出血に伴って糞便が黒くなるなどの症状が現れる。
b  イレウス様症状(腸閉塞様症状)では、腹痛などの症状のために水分や食物の摂取が抑制され、嘔吐がない場合でも脱水状態となることがある。
c  小児や高齢者のほか、普段から便秘傾向のある人は、イレウス様症状(腸閉塞様症状)発症のリスクが低い。
d  消化性潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜組織が傷害されるが、粘膜表面のみの欠損で、粘膜筋板までは欠損していない状態である。

・a b c d
1 正 誤 正 誤
2 誤 正 誤 誤
3 正 正 正 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 正 誤 正

【正解2】
a× 自覚症状が乏しい場合もあり、貧血症状(動悸や息切れ等)の検査時や突然の吐血・下血によって発見されることもある
c× 小児や高齢者のほか、普段から便秘傾向のある人は、発症のリスクが「高い
d× 胃や十二指腸の粘膜組織が傷害されて、その一部が粘膜筋板を超えて欠損する状態

問 74
次の記述は、医薬品の副作用として現れる間質性肺炎に関するものである。正しいものの組み合わせはどれか。

a  気管支又は肺胞が細菌に感染して炎症を生じたものである。
b  息切れ・息苦しさ等の呼吸困難、空咳、発熱等の症状を呈し、自然に回復することはない。
c  悪化すると肺線維症に移行することがある。
d  かぜや気管支炎の症状と区別することは難しい場合がある。

1(a、b) 2(a、d)
3(b、c) 4(c、d)

【正解4】
a× 間質性肺炎は、肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたものである
b× 症状が一過性に現れ、自然と回復することもある

問 75
以下の感覚器系に現れる医薬品の副作用に関する記述について、(  )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。なお、2箇所の( b )内はどちらも同じ字句が入る。

眼球内の角膜と水晶体の間を満たしている( a )が排出されにくくなると、眼圧が( b )して視覚障害を生じることがある。
例えば、抗コリン作用がある成分が配合された医薬品によって眼圧が( b )し、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下を来すことがある。特に( c )がある人では厳重な注意が必要である。

1 a眼房水 b上昇 c緑内障
2 a涙液  b上昇 c白内障
3 a眼房水 b上昇 c白内障
4 a涙液  b低下 c緑内障
5 a眼房水 b低下 c白内障

【正解1】
眼球内の角膜と水晶体の間を満たしている( a眼房水 )が排出されにくくなると、眼圧が( b上昇 )して視覚障害を生じることがある。
例えば、抗コリン作用がある成分が配合された医薬品によって眼圧が( b上昇 )し、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下を来すことがある。特に( c緑内障 )がある人では厳重な注意が必要である。

問 76
皮膚に現れる医薬品の副作用に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a  接触皮膚炎は、医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じる。
b  光線過敏症が現れた場合は、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、皮膚に医薬品が残らないよう十分に患部を洗浄し、遮光して速やかに医師の診療を受ける必要がある。
c  薬疹は医薬品の使用後1~2週間で起き、それ以上の長期使用後に現れることはない。
d  薬疹を経験したことがない人であっても、暴飲暴食や肉体疲労が誘因となって現れることがある。

・a b c d
1 誤 誤 正 誤
2 正 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 正 正 誤 正
5 誤 正 誤 正

【正解4】
c× 薬疹は医薬品の使用後1~2週間で起きることが多いが、長期使用後に現れることもある

問 77
胆嚢及び肝臓に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a  胆嚢は、肝臓で産生された胆汁を濃縮して蓄える器官で、十二指腸に内容物が入ってくると収縮して腸管内に胆汁を送り込む。
b  小腸で吸収されたブドウ糖は、血液によって肝臓に運ばれてグルコースとして蓄えられる。
c  アルコール(エタノール)は、胃や小腸で吸収され、肝臓へと運ばれて一度アセトアルデヒドに代謝されたのち、さらに代謝されて酢酸となる。
d  肝臓では、必須アミノ酸以外のアミノ酸を生合成することができない。

・a b c d
1 誤 誤 正 誤
2 誤 正 誤 誤
3 正 正 誤 正
4 正 正 正 正
5 正 誤 正 誤

【正解5】
b× 小腸で吸収されたブドウ糖は、血液によって肝臓に運ばれて「グリコーゲン」として蓄えられる
d× 肝臓では、必須アミノ酸以外のアミノ酸を生合成することができる

問 78
以下の偽アルドステロン症に関する記述について、(  )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。

体内に( a )と水が貯留し、体から( b )が失われることによって生じる病態である。( c )からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらずこのような状態となることから、偽アルドステロン症と呼ばれている。
主な症状に、手足の脱力、( d )、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、手足のしびれ、頭痛、むくみ(浮腫)、喉の渇き、吐き気・嘔吐等があり、病態が進行すると、筋力低下、起立不能、歩行困難、痙攣等を生じる。

1 aナトリウム bカリウム  c副腎皮質 d血圧上昇
2 aカリウム  bナトリウム c副腎皮質 d血圧低下
3 aナトリウム bカリウム  c副腎皮質 d血圧低下
4 aカリウム  bナトリウム c副腎髄質 d血圧低下
5 aナトリウム bカリウム  c副腎髄質 d血圧上昇
【正解1】
体内に( aナトリウム )と水が貯留し、体から( bカリウム )が失われることによって生じる病態である。( c副腎皮質 )からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらずこのような状態となることから、偽アルドステロン症と呼ばれている。
主な症状に、手足の脱力( d血圧上昇 )筋肉痛、こむら返り、倦怠感、手足のしびれ、頭痛、むくみ(浮腫)、喉の渇き、吐き気・嘔吐等があり、病態が進行すると、筋力低下、起立不能、歩行困難、痙攣等を生じる。

問 79
医薬品の副作用としての肝機能障害に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a  医薬品の有効成分又はその代謝物の直接的肝毒性による中毒性のものであり、アレルギー性のものはない。
b  軽度の肝障害の場合、健康診断等の血液検査(肝機能検査値の悪化)で初めて判明することが多い。
c  黄疸は、ビリルビンが胆汁中へ排出されず血液中に滞留することにより生じる。
d  主な症状に、全身の倦怠感、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐き気がある。

・a b c d
1 正 誤 正 誤
2 誤 正 正 正
3 正 正 誤 正
4 誤 誤 正 正
5 正 正 誤 誤

【正解2】
a× 有効成分又はその代謝物の直接的肝毒性が原因で起きる中毒性のものと、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起きるアレルギー性のものに大別される

問 80
次の記述は、脾臓及びリンパ系に関するものである。正しいものの組み合わせはどれか。

a  脾臓の主な働きは、脾臓内を流れる血液から古くなった白血球を濾し取って処理することである。
b  リンパ節の内部にはリンパ球やマクロファージ(貪食細胞)が密集している。
c  リンパ液の流れは主に骨格筋の収縮によるものであり、流速は血流に比べて緩やかである。
d リンパ管には逆流防止のための弁がない。

1(a、b) 2(a、d)
3(b、c) 4(c、d)

【正解3】
a× 脾臓の主な働きは、脾臓内を流れる血液から古くなった「赤血球」を濾し取って処理すること
d× リンパ管には逆流防止のための弁がある

※参考記事です

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